賞与計算に使う前月の給与額の正しい基準とは?控除項目と総支給額の扱いを具体例で解説

税金

賞与(ボーナス)の支給額を算出する際に「前月の給与額」をもとに計算することがありますが、どの金額を基準とするのか迷いやすいポイントです。特に、総支給額や各種控除をどう扱うべきか分からず困っている方も多いはず。この記事では、賞与計算に用いる前月給与額の正しい取り扱い方を、具体的な数値例を使って丁寧に解説します。

前月給与額とは「額面支給額」または「社会保険料控除後の額」が基本

賞与計算のベースにする「前月の給与額」は、原則として支給額(額面)ベース、もしくは社会保険料を控除した後の金額を用います。

ここでいう社会保険料とは以下の4項目です。

  • 健康保険料
  • 介護保険料(40歳以上の場合)
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料

所得税・住民税は控除の対象外であり、手取り額(実際の振込額)は賞与計算には使用しません。

【実例】支給額と控除内容から賞与計算用の前月給与額を導く

以下のような給与明細を例にして考えてみましょう。

  • 総支給額(基本給+手当等):500,000円
  • 交通費:10,000円(非課税手当)
  • 健康保険料:20,000円
  • 介護保険料:5,000円
  • 厚生年金保険料:40,000円
  • 雇用保険料:3,000円
  • 所得税:15,000円
  • 住民税:12,000円

この場合、賞与計算に使う前月給与額には次のような選択肢があります。

① 総支給額ベース

交通費も含めて500,000円を前月給与額とする場合。

→ 最もシンプルな方式。ただし一部企業では交通費を除外することも。

② 社会保険料4種控除後ベース

社会保険料(20,000円+5,000円+40,000円+3,000円=68,000円)を引いた432,000円を使用。

→ 企業によってはこちらの方式を採用している場合も多いです。

③ 手取り額(誤り)

総支給から全控除(保険+税)を引いた金額:500,000円 – 95,000円 = 405,000円

これは振込額であり、賞与の基準には使いません

交通費は含める?除外する?

交通費が非課税手当である場合、賞与計算の基礎から除外するケースがあります。その場合。

  • 総支給額:500,000円
  • 交通費除外後:490,000円

この交通費を引いた490,000円から社会保険料(68,000円)を引けば、賞与計算に使う金額は422,000円となります。

どの方式が正解かは就業規則や会社の運用による

実際にどの額を使用するかは、会社ごとの就業規則や社労士・税理士の運用方針により異なります。制度設計上、どれが絶対に正しいというわけではありませんが、「社会保険料までの控除で止める」のが一般的かつ実務に適しています。

手取り額や所得税・住民税まで引いた額を使用するのは原則避けるべきです。

まとめ:賞与計算の基準は「額面給与」または「社会保険料控除後」

賞与計算で使う前月給与額は、手取りではなく支給額ベースで判断するのが基本です。交通費を含めるか除外するか、社会保険料まで引くかどうかは、就業規則や会社の慣行によって異なるため、自社のルールを確認するのが確実です。

迷った場合は、社会保険料4種だけ引いた額を基準にするのが実務上もっとも多いパターンです。

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