パートやアルバイトで働く主婦や学生にとって、「103万円の壁」「130万円の壁」などの収入制限は長年にわたり悩みの種でした。こうした“壁”の存在が働き方に影響を与え、経済全体にも波及することから、政治の場でもたびたび議論されています。この記事では、「壁」問題の背景や実際に制度改革を主導してきた政治家の動き、そして今後注目すべき「消費税の壁」についても解説します。
そもそも「103万円の壁」とは何か?
「103万円の壁」とは、所得税の扶養控除に関する収入基準を指します。年収103万円以下であれば、配偶者の扶養に入りながら働くことができ、本人には所得税が課されず、配偶者も「配偶者控除」を受けることができます。
この制度は主にパートタイマーなどの労働を抑制する要因とされ、「壁の存在が女性の就労機会を制限している」と批判されてきました。
103万円の壁を壊したのは誰か?玉木雄一郎氏の貢献
2023年度の税制改正において、「103万円の壁」対策として「年収の壁・支援強化パッケージ」が発表されました。この政策において中心的に提言を行った一人が、国民民主党代表の玉木雄一郎氏です。
玉木氏は長年にわたり「働き損をなくす」ことを訴えており、収入制限の撤廃や緩和に向けた提案を続けてきました。制度そのものが完全に撤廃されたわけではないものの、企業側への助成金制度や配偶者手当見直しを促す政策が進められ、「壁を実質的に壊す第一歩」と評価されています。
他の「壁」はどうなった?130万円・150万円・社会保険の壁
「130万円の壁」は、社会保険の扶養の条件に関わるものです。年収130万円以上になると、配偶者の扶養から外れ、自分で健康保険・年金に加入しなければなりません。
また、大企業で働くパート従業員には「106万円の壁」もあり、厚生年金などに強制加入となる基準があります。政府はこれに対しても、「キャリアアップ支援」や助成金による働き方改革を進めており、徐々に改善の動きが出ていますが、依然として現場では「働き方の制限」として強く意識されているのが現状です。
「消費税の壁」を壊そうとしているのは高市早苗氏だけ?
消費税に関しては、「所得の少ない層ほど負担が重い逆進性」が問題とされており、これを“消費税の壁”と捉える動きもあります。与党内でこれに言及している代表的な政治家の一人が、高市早苗氏(自民党)です。
高市氏は2023年ごろから消費税減税を含む所得再分配政策を訴えており、低所得層に対する実質減税や消費税の税率見直しにも前向きな発言を行っています。ただし、自民党全体としては消費税維持が主流派の意見であり、高市氏の見解が現時点で党内の主流政策に反映される可能性は限定的です。
制度改革における政治家の役割と限界
実際の制度改革は、財務省や厚労省などの官僚機構との調整を経て進められるため、政治家の提言だけでは即時実現することは難しいのが現実です。
しかしながら、玉木雄一郎氏や高市早苗氏のように、制度の根幹に関わる問題を国会で取り上げ、社会の問題提起を行うことは、制度改革の重要な一歩であることに違いありません。
まとめ:制度の「壁」は少しずつ壊されつつある
103万円の壁をはじめとする収入制限の制度は、現実的に見直しが進んでいます。完全な撤廃には至っていないものの、政治家の働きかけや社会の要請により、制度は少しずつ柔軟化しています。今後も「生活と働き方のバランス」に着目した政策の動向に注目することが、私たち一人ひとりにとっても重要です。
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