相続は誰にでも訪れる現実であり、特に配偶者の次に資産を引き継ぐ相手が親族(子以外)となる場合、相続税の負担は大きくなりやすいです。この記事では、配偶者亡き後に姪へ1億円を相続させたい場合の税金の目安と、事前にできる対策について解説します。
姪への相続は「法定相続人以外」として課税
子や親とは異なり、姪は法定相続人に含まれないため、相続税の基礎控除の対象人数にもカウントされず、税率も高くなります。
また、相続税法上では姪は「被相続人の三親等内の血族」として扱われ、相続税額が2割加算されるルールが適用されます。
1億円を姪が相続する場合の税金試算
姪が1人で1億円を相続するケースを想定すると、以下のように税額が算出されます。
相続額 | 基礎控除 | 課税価格 | 税率 | 控除額 | 2割加算後の税額 |
---|---|---|---|---|---|
1億円 | 360万円 | 9,640万円 | 40% | 1,700万円 | (9,640万円×40%-1,700万円)×1.2=3,576万円 |
このように、約3,500万円以上の相続税が発生する可能性があります。姪に1億円残しても、実際に受け取れるのは6,500万円程度に。
遺言書や生命保険の活用で税負担を軽減
姪への相続を実現するには、まず公正証書遺言などで明確に意思を残すことが大切です。遺言がなければ、法定相続人である配偶者がすべてを相続し、その後に姪へ渡すには再度相続が発生します。
また、生命保険金は受取人固有の財産として扱われ、一定額は非課税です。例えば、姪を受取人とした保険契約を活用することで、課税資産の一部を圧縮できます(ただし非課税枠は法定相続人が対象)。
生前贈与の選択肢と注意点
生前贈与も有効な選択肢ですが、姪への贈与は年間110万円を超えると贈与税がかかります。相続時精算課税制度もありますが、こちらは直系親族対象のため姪は適用対象外です。
そのため、数年かけて少額ずつ分散して贈与するなどの工夫が必要です。
税理士への相談は不可欠
姪への相続は一般的なケースよりも複雑かつ税負担が大きくなるため、相続税に詳しい税理士へ早めに相談するのが得策です。財産の種類や分け方によっても、税額や対応方法が変わってきます。
まとめ:意志を遺し、備えを整えることで想いを確実に届ける
配偶者の次に姪へ資産を引き継ぐには、遺言、保険、生前贈与など複数の方法を組み合わせ、税負担を抑えつつ確実に想いを実現する備えが必要です。
誰にいくら渡すかだけでなく、「どうすれば確実に届けられるか」を視野に入れた相続設計を進めましょう。
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