社会保険料は給与の支給日で決まる?複数月分を同時に支給した場合の取り扱いを解説

社会保険

給与を複数月分まとめて支払う場合、「社会保険料は何か月分徴収すべきなのか?」と疑問を持つことはよくあります。特にアルバイトや契約社員など、雇用形態が変わるタイミングや支給タイミングがずれると、計算も複雑になります。この記事では、社会保険料(健康保険・厚生年金)の徴収ルールを中心に、支給タイミングと月額の関係をわかりやすく解説します。

社会保険料は「支払月」で判断される

原則として、社会保険料は「いつの給与か」ではなく「いつ支払われた給与か(支給日)」を基準にして決まります。したがって、仮に5月分の給与を6月に支払ったとしても、それは6月支給分として取り扱われます。

このため、6月に2か月分の給与(5月分+6月分)を支給した場合も、6月分として1か月分の社会保険料を徴収すれば原則問題ありません。これは、標準報酬月額の考え方に基づいています。

標準報酬月額と報酬月額の考え方

社会保険料の算出は、実際の給与金額ではなく「標準報酬月額」に基づいて行われます。これは、年1回(または随時改定時)に届け出る被保険者の月額報酬を基準にして、保険料を算定する制度です。

例として、6月に給与を2か月分まとめて支給した場合でも、あくまで「6月の報酬」として扱われ、その金額に応じて標準報酬月額が見直される可能性はありますが、徴収月数は1か月分となります。

複数月分の支給で注意すべき例外

ただし、報酬の支払いがイレギュラーで一時的に増えた場合、「随時改定(いわゆる月変)」の対象になる可能性があります。これは、3か月間の平均給与が大きく増減した場合に、標準報酬月額を見直す制度です。

つまり、6月の報酬が通常より高額になったことで、翌月以降の保険料が上がる可能性はありますが、6月に2か月分の保険料を取ることにはなりません

実例:5月分の給与を6月に支給したケース

ある企業で、5月末退職のアルバイトに対し、6月10日に5月分給与を支給。その後、6月中旬に契約社員として再雇用され、6月30日に6月分給与を支給しました。

このような場合でも、6月の保険料は1か月分のみ徴収されます。報酬の支給が同月であっても、社会保険料の徴収は「月ごとの加入状態」に基づくためです。

給与計算での注意点と実務対応

複数月の給与を一括で支給する場合は、

  • 支給日ベースで社会保険料を計算する
  • 報酬月額が大幅に変わった場合は月変の対象か確認する
  • 2か月分の保険料を引かないよう給与計算を注意する

といった点に留意することが重要です。

また、給与明細には各月分の支給対象期間を明記することで、従業員とのトラブル防止にもつながります。

まとめ:支給が重なっても「保険料は1か月分」が原則

社会保険料の取り扱いにおいては、「支給日がいつか」が最も重要です。たとえ複数月分をまとめて支払った場合でも、保険料は支給月に対して1か月分のみ徴収するのが原則です。

ただし、報酬が一時的に増えることで今後の標準報酬月額が変更される可能性もあるため、給与計算と社会保険の実務は連動して確認する必要があります。判断が難しい場合は、社会保険労務士への相談もおすすめです。

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