障害基礎年金は、障害の原因となった病気やケガの初診日に基づいて請求が行われます。中でも「遡及請求(そきゅうせいきゅう)」は、過去にさかのぼって年金を受け取るための手続きですが、初診日や診断書の記載内容などが厳密に問われるため、請求が却下されるケースもあります。本記事では、遡及請求の基本と、再請求の可否、そして初診日の取り扱いについて解説します。
障害基礎年金の遡及請求とは
障害基礎年金の遡及請求とは、障害の認定日が過去にあり、その時点で障害状態が該当していた場合に、その期間にさかのぼって年金を受け取れる制度です。最大で5年分まで受給可能とされています。
例えば、うつ病などで5年前に症状が重くなっていたにもかかわらず、最近まで請求していなかった場合でも、条件が整えば5年分の障害年金を遡って受け取ることが可能です。
遡及請求が却下される主な理由
遡及請求が認められない理由には以下のようなケースがあります。
- 診断書に記載された内容が認定基準を満たしていない
- 初診日の証明が不十分
- 障害認定日における障害等級が条件に達していない
特に「初診日の認定」は非常に重要です。請求書類に記載された病院が、実際の初診の病院でない場合、請求自体が却下されることがあります。
一度却下された遡及請求は再提出できるのか
遡及請求が却下された場合でも、再度請求することは可能です。ただし、再請求を行うには、以下の点を見直す必要があります。
- 本当に初診日が正しく記載されていたか
- 診断書の内容に不足や誤記がないか
- 他の医療機関での初診があった場合、そちらの証明を用意できるか
特に、初診の医療機関が変更される場合は、カルテや紹介状の写しなど、初診日の裏付けとなる資料が求められます。
初診日はどの医療機関が基準になる?
障害年金における「初診日」とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師の診療を受けた日を指します。したがって、二番目に受診した病院ではなく、最初に受診した病院の記録が基準となります。
仮に、最初の病院の診療録がすでに廃棄されている場合には、次の病院に紹介状や転院記録が残っているかを確認しましょう。記録が残っていれば、それをもとに初診日の証明が可能な場合もあります。
社会保険労務士への相談が有効
障害年金の請求、特に遡及請求は書類の準備や初診日の確認など、複雑な手続きが求められます。申請の失敗を避けるためにも、障害年金に詳しい社会保険労務士(社労士)に相談するのが有効です。
初回相談が無料の事務所も多いため、少しでも不安がある場合は、専門家の力を借りて申請手続きを進めましょう。
まとめ:再請求のチャンスはある、初診日の見直しを
障害基礎年金の遡及請求は、一度却下されたとしても、初診日の再確認や診断書の見直しにより再申請が可能です。重要なのは、「初診日が正しく証明されているか」です。
もし以前の申請で却下された理由が不明確であれば、社労士に相談して再請求の可否を見極めましょう。適切な準備をすれば、再び年金を受け取るチャンスが広がります。
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