障害者控除は、本人または扶養家族が障害者である場合に所得控除として適用され、所得税・住民税の負担軽減につながる大切な制度です。しかし、年度によって控除が反映されていないケースもあり、「なぜ今年はあるのに昨年はなかったのか」と疑問に思う方も多いようです。本記事では、その理由と遡り申請の方法について詳しく解説します。
障害者控除の基本的な仕組み
障害者控除は、以下のいずれかに該当する人が対象になります。
- 身体障害者手帳などで障害の程度が確認できる人
- 療育手帳や精神障害者保健福祉手帳を所持している人
- その他、所得税法上の「障害者」に該当する人
控除額は以下のとおりです。
- 一般の障害者:27万円
- 特別障害者:40万円
- 同居特別障害者:75万円
なぜ前年度に反映されていなかったのか?
障害者控除は基本的に、会社(勤務先)に正しく情報が伝わっている必要があります。市役所に届け出をしていても、年末調整時に会社へ申告し忘れた場合や、扶養控除等申告書に未記入だった場合には反映されません。
また、市区町村が保有する情報(たとえば手帳の交付情報など)が会社と共有されるわけではないため、自己申告が原則です。
遡りで申請は可能?
可能です。原則として、過去5年以内であれば「更正の請求」や「住民税の申告」によって、障害者控除の適用を受けることができます。
具体的には、以下の書類が必要になります。
- 当時の源泉徴収票
- 障害者手帳などの証明書
- 更正の請求書(税務署提出)または住民税の申告書(市区町村提出)
遡って還付される場合のお金の受け取り方
更正の請求が認められた場合、所得税については現金振込(指定口座)で還付されます。通常、申請から2か月程度で入金されるのが一般的です。
住民税の場合は、還付金通知書が届いた後に銀行口座へ振込か、減額された住民税額が翌年度の請求から差し引かれる形となる場合があります。
実際の手続きの流れ
- 税務署または市役所へ相談に行く
- 必要書類を確認・準備する
- 税務署に「更正の請求」、市区町村には「住民税申告書」を提出
- 結果を待ち、還付金が振り込まれる
なお、手続きが不安な場合は、税務署の無料相談や税理士のサポートを活用するのも一つの手です。
まとめ:障害者控除の未反映は申告漏れに注意、遡り申請も可能
障害者控除がある年とない年がある場合は、まずは「年末調整時に会社へ申告できていたか」を振り返ってみましょう。控除漏れがあった場合も、最長5年間は遡って還付申請ができます。確実な手続きのために、税務署や市役所に早めに相談されることをおすすめします。
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