働き始めたばかりの方や生活保護を受給している方にとって、給与明細にある「健康保険」欄の意味は少しわかりにくいかもしれません。この記事では、給与から差し引かれる健康保険料の仕組みと、生活保護との関係をわかりやすく解説します。
給与明細の「健康保険」とは何か?
給与明細に記載されている「健康保険」は、いわゆる社会保険の一部であり、医療費の負担を軽減するための公的保険制度に対して支払っている保険料です。これは従業員が就職して会社の健康保険に加入した際に、給与から自動的に差し引かれるようになっています。
この保険料は会社と本人が半分ずつ負担しており、保険料率は勤務先や加入している健康保険組合によって異なります。
生活保護と健康保険の両立はできるのか?
通常、生活保護を受給している方は医療扶助によって医療費が全額免除されるため、健康保険料を支払う必要はありません。しかし、就労を開始し会社の社会保険に加入すると、原則として生活保護ではなく「被用者保険(健康保険)」が適用されるようになります。
その結果、給与明細に健康保険料が発生し、生活保護の医療扶助は適用されなくなるケースがあります。つまり、働き始めたタイミングで保険制度が切り替わっているのです。
生活保護受給者で少額就労中のケース
少額の収入で、なおかつ生活保護を受給し続けている場合でも、会社の健康保険に加入していると給与から保険料が天引きされる可能性があります。このようなケースでは、自治体の福祉事務所に相談し、医療扶助が継続して適用されるかどうかを確認する必要があります。
実際には、就労収入が生活保護の基準を超えなければ、差額分が生活扶助や住宅扶助として支給され続けますが、医療費については自費負担となるリスクもあるため注意が必要です。
「なぜ医療費が無料なのに保険料を払っているのか?」という疑問
医療費が無料であることと、健康保険料が発生することは別問題です。医療扶助によって病院での支払いが不要であっても、就労によって会社の社会保険制度に強制加入となっている場合は、法律上保険料を支払う義務が発生します。
このため、「医療費がかからないのに健康保険料が引かれている」という状況は一見不合理に見えても、制度上は正当な扱いとされています。
対応策:福祉事務所への相談が第一
不明な点がある場合や保険料負担が家計を圧迫している場合は、速やかに福祉事務所やケースワーカーへ相談しましょう。状況に応じて健康保険料の減免や、生活保護の支給額調整などの対応を受けられる場合があります。
また、自治体によっては「医療費の自己負担分補助」など独自の支援制度を設けているところもあるため、制度を活用することで負担軽減が期待できます。
まとめ:給与明細の健康保険料は会社員の義務
会社に就職し健康保険に加入すると、生活保護を受給していても保険料は差し引かれます。これは法律に基づく制度であり、医療扶助とは別枠で機能しています。
制度の狭間で混乱しやすい部分でもあるため、違和感や疑問を感じたら、まずは市区町村の福祉窓口や勤務先の担当者に確認をとることが大切です。
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