「タンス預金は違法なのか?」「銀行に預けないとダメなのか?」といった疑問を持つ方は少なくありません。実際、現金を手元に置いておきたいと思うのは自然な感覚でもあります。本記事では、タンス預金の法的な位置づけや注意点、また適切な管理方法についてわかりやすく解説します。
タンス預金は違法ではないが、条件によってはリスクあり
結論から言えば、タンス預金は違法ではありません。法律上、現金を銀行に預けなければならないという規定はなく、個人が自宅などで現金を保管しても法的に処罰されることはありません。
ただし、脱税目的やマネーロンダリングの手段として使われた場合は別です。たとえば、高額の現金を申告せず相続した場合や、所得を隠して現金化している場合などは税務署の調査対象になります。
タンス預金のデメリットとは?防犯・災害・相続の観点から
タンス預金には次のようなデメリットも存在します。
- 盗難や火災による損失リスク:銀行預金と異なり、現金は物理的に消失すれば保証されません。
- 家族や相続人が気づかない:本人が亡くなった後、誰にも伝えていなければタンス預金はそのまま埋もれてしまいます。
- 保管状況によっては劣化する:紙幣は湿気や虫害に弱く、状態が悪いと店舗やATMで断られることも。
実際に、相続税の調査で「どこから出てきたかわからない現金」が発見され、多額の追徴課税が課されたケースもあります。
一定額以上の現金は申告義務の対象になる場合も
現金そのものを持つことは自由ですが、税務申告上は把握されているべき資産となります。特に次のケースでは注意が必要です。
- 相続時:現金が遺産に含まれる場合は、相続税の対象になります。正確な申告が求められます。
- 金融機関への大口現金持ち込み:100万円を超える現金の持ち込みには、金融機関側で確認・報告義務が発生します(犯罪収益移転防止法による)
また、マイナンバー制度の影響で、資産の可視化が進んでいるため、現金資産も把握されやすくなっています。
それでもタンス預金を選ぶ理由と安全な管理方法
それでも「預金封鎖リスク」や「マイナンバー連携に伴う不安」などから、一定額を現金で保有しておきたいという考え方もあります。その場合は次のような対策を検討しましょう。
- 耐火・防犯金庫の使用:小型でも耐火性能がある金庫が市販されています。
- 保管場所を一人で決めない:信頼できる家族に場所や金額を伝えておく。
- 台帳で記録を残す:現金の出入りを明記し、第三者が確認できるようにしておく。
とくに高齢の方は、認知症リスクや管理ミスも考慮して、信託口座や家族との共同管理を視野に入れてもよいでしょう。
預貯金と現金保管、どちらも活用するバランスが大事
預金には利便性や安全性、現金保管には即時性や自由度というメリットがあります。たとえば。
手段 | メリット | デメリット |
---|---|---|
銀行預金 | 安全、利便性、引き出し自由 | 金利がほぼゼロ、封鎖懸念 |
タンス預金 | 即現金化、自由な使途 | 盗難・災害リスク、申告漏れの危険 |
資産の一部を現金で保管し、残りは銀行や証券口座で管理するというハイブリッド型の運用が現実的な選択肢となるでしょう。
まとめ:タンス預金は違法ではないが「透明性」と「管理」がカギ
タンス預金は法律で禁じられているものではありません。しかし、安全に、かつ適切に保管するには、リスクの理解と管理、そして資産の透明性が重要です。
特に相続や税務調査、災害などの際には、“現金だからこその落とし穴”があることを意識しておく必要があります。資産管理の一手段として、タンス預金をどう位置づけるか、今一度見直してみるのも良いかもしれません。
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