クレジットカードの滞納を長期間放置していたり、返済中に連絡先がわからなくなったりするケースは、意外と多く見られます。中でも「督促が来ない」「どこに返せばいいかわからない」といった状況になると、どう対応すればよいのか戸惑う人も少なくありません。本記事では、過去に和解や分割返済に至ったが、相手方との連絡が取れなくなった場合の対応について、法的・実務的な視点から解説します。
返済先が不明になったまま支払いを続けるのは要注意
振込先の口座しか手元になく、交渉先や債権者の情報が不明な状態での返済は、正式な「債務の返済」とみなされないリスクがあります。送金先が正しいかどうか、利息が発生していないか、法的な効力がどうなっているかが確認できなければ、後々「返していない」と主張されるおそれもあります。
たとえば、債権が債権回収会社(サービサー)へ移転されている場合、以前の口座に振り込んでいても無効となることがあります。
督促が来ない=債務消滅ではない
「何年も連絡が来ないから、もう請求されないのでは?」と思う人もいますが、それは危険な誤解です。債務の時効は原則5年ですが、「一部でも返済している」「債務を認めた書類がある」などの事情があれば、時効は中断しており、再スタートしています。
また、債権者は裁判所を通じて差し押さえの準備を進めている可能性もあり、ある日突然、給与や預金が差し押さえられることもあります。
まずやるべきは「債権者情報の特定」
対応の第一歩は、現在の債権者が誰かを特定することです。以下の手段が有効です。
- 信用情報機関(CIC・JICC)で情報開示:過去のクレジット情報や残債情報を確認できます。
- 以前の弁護士事務所に問い合わせ:和解時に介入していた法律事務所に情報が残っている可能性あり。
- 振込先口座の名義人を確認:通帳記帳やネットバンキングで受取人名義が記載されていれば、そこから債権者を追えることも。
情報がわかったら、すぐに連絡し、現在の残債・利息・和解条件の再確認を行うべきです。
和解書や契約書があるなら要確認
以前に締結した和解書や返済合意書が手元にある場合は、そこに記載された条項(遅延があった場合の対応、加算利息、一括請求の条件など)をよく確認してください。
「2回の延滞で一括請求」と明記されていても、債権者がそれを実行していなければ、形式上の条項として放置されている可能性もあります。しかし書面がある以上、いつでもその主張をされるリスクはあるため、放置は禁物です。
今後の選択肢と整理方法
現状を整理したいと考えるなら、以下のような選択肢があります。
- 法テラスなど無料法律相談を利用:状況整理や再交渉に向けての相談が可能。
- 債務整理の再検討:自己破産・個人再生・任意整理などを検討してもよい段階かもしれません。
- 内容証明郵便の送付:債権者が特定できれば、返済状況や利息の有無を確認するために文書で交渉可能。
特に現在収入が安定せず、長期の返済に不安がある場合は、早めに弁護士の支援を仰ぐことをおすすめします。
まとめ
債務が残っている状態で返済先が不明になり、連絡も来ないという状況でも、「忘れられている」わけではありません。むしろ、時効中断・債権譲渡・差し押さえといったリスクが水面下で進んでいることも考えられます。まずは信用情報の開示や口座名義の確認などから債権者を特定し、現状の把握と対応を進めることが重要です。放置せず、きちんと「整理」することで安心を取り戻しましょう。
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