近年、副業や個人事業で収入を得る人が増えていますが、正しい申告を行わないまま事業を続けている人も一定数存在します。中には「税金も年金も納めていないけど何も問題がない」と語る人もいますが、本当にそうなのでしょうか?この記事では、確定申告をしないことによるリスクや、年金受給と収入の関係について詳しく解説します。
確定申告をしない個人事業主の実態
植木職人や大工、家庭教師、美容師など個人の顧客を対象とする職種では、現金取引が多く領収書を発行しないこともあります。このような業態では、税務署からの監視が緩くなりがちですが、確定申告をしない場合は明確な「無申告加算税」「延滞税」の対象となります。
国税庁は「定期的な収入があるにもかかわらず申告がない」ことを把握すると、最大7年分の遡及調査を行うことがあり、悪質と判断されれば、重加算税(最大40%)が課されることもあります。
無申告でもバレない理由とバレるきっかけ
確定申告をしていない個人事業者が「今まで問題なかった」という場合、それは単に税務調査の網にかかっていないだけです。しかし、次のようなきっかけで発覚することがあります。
- 近隣住民や知人からの情報提供
- 不自然な高額な買い物や不動産の購入
- 金融機関や不動産業者などからの報告
- 本人または家族の年金・健康保険の再調査
特にSNSなどで「現金商売で税金払ってない」といった発言をすることも、現代では危険です。
年金受給中でも申告義務はある
65歳を超えても収入がある場合、年金受給者であっても税務申告の義務はあります。年金収入だけであれば一定額まで非課税ですが、事業収入があれば所得税・住民税の対象になります。また、妻の加給年金を受給している場合でも、世帯全体での所得の確認が行われるため、申告漏れは支給停止の対象となる可能性があります。
さらに、無申告であっても銀行口座やクレジットカードの履歴、電力・通信契約などで生活実態の調査が行われることもあるため、「バレない」は長期的には通用しません。
サラリーマンと個人事業主の公平性
サラリーマンは、給与から自動的に税金・社会保険料が引かれています。一方で、個人事業主は自己申告制のため、意図的に申告を避けている人が「得をしている」と見えることもあります。
しかし、いざ税務調査が入った場合のリスクは非常に大きく、最悪の場合、刑事罰や財産差し押さえにまで発展することがあります。納税義務は憲法でも定められた国民の三大義務の一つであり、正しく申告し納税することは社会の基盤です。
実際に税務調査が行われたケース
60代の理容師が現金売上を過少申告していたところ、通報をきっかけに税務署が動き、過去5年分の申告漏れが発覚。加算税と延滞税を含めて約800万円の支払い命令が出されました。
また、無申告で複数年にわたり不労所得を得ていた主婦が、年金の見直し時に収入調査を受け、結果として加給年金の支給停止と過去分の返還を求められた事例もあります。
まとめ
確定申告をしないまま事業を続けることは、短期的には得に見えても、長期的には重大なリスクを抱える行為です。現時点でバレていなくても、何かのきっかけで税務調査や年金の再審査が入り、多額の追徴課税や給付停止となる可能性があります。正しく申告・納税し、真面目に働いている人が安心できる社会の実現には、公平なルールの遵守が欠かせません。
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