住宅ローンや自動車ローンなどを利用していると、将来的な金利負担や返済総額を減らすために「繰上げ返済」を検討する方は少なくありません。特に、期間を短縮する繰上げ返済を選んだ際に「毎月の返済額はどうなるのか?」という疑問は、多くの人が感じるポイントです。本記事では、繰上げ返済の2つの種類とそれぞれの効果について、具体的な例を交えてわかりやすく解説します。
繰上げ返済には2つの種類がある
ローンの繰上げ返済には大きく分けて「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあります。どちらを選ぶかによって、将来の返済計画に大きな差が出るため、目的に応じた選択が重要です。
期間短縮型:返済期間が短くなり、総支払利息を大幅に減らせるのが特徴です。
返済額軽減型:月々の返済額が減るため、毎月の負担が軽くなりますが、利息の軽減効果は限定的です。
期間短縮型を選ぶと毎月の返済額はどうなる?
多くの人が誤解しがちですが、期間短縮型の繰上げ返済を選んでも、月々の返済額は基本的に変わりません。返済額はそのままで、完済までの期間が短縮される形になります。
例えば、元金3000万円・金利1.5%・35年ローンの場合、毎月の返済額は約90,000円ですが、100万円を繰上げ返済して期間短縮型を選ぶと、完済が約2年早くなり、利息が数十万円単位で減少することになります。
なぜ返済額は変わらず期間が短縮されるのか
返済計画は「毎月いくら返すか」に基づいて金利と残高のバランスで組まれています。期間短縮型はその支払計画を崩さず、返済回数を減らすことで、将来払うはずだった利息をカットする方法です。
つまり、毎月の返済額は同じでも、支払う回数(年数)が減る=結果的に総返済額が減るという理屈になります。
具体例:100万円を繰上げ返済した場合の違い
以下の表は、ローン元金3000万円・金利1.5%・35年返済のケースにおいて、100万円を繰上げ返済したときの違いを示したものです。
繰上げ方法 | 月額返済 | 返済期間 | 利息軽減額 |
---|---|---|---|
期間短縮型 | 約90,000円 | 約33年に短縮 | 約50万円 |
返済額軽減型 | 約87,000円 | 35年のまま | 約20万円 |
このように、利息の軽減効果では期間短縮型が圧倒的に有利であることが分かります。
どちらの繰上げ返済を選ぶべきか?
「将来的な利息負担を減らして早く完済したい」場合は、期間短縮型がおすすめです。一方、「毎月の支払いを少しでも軽くしたい」場合は返済額軽減型を選ぶとよいでしょう。
たとえば、教育費や介護など他の出費が見込まれる方は、毎月の負担を軽くしてキャッシュフローを確保するのが合理的です。
まとめ:目的に応じた賢い繰上げ返済を
繰上げ返済は、総返済額を減らすための強力な手段です。特に期間短縮型を選べば、月々の返済額を維持しながら、返済期間を短縮し、利息を大きく軽減できます。ただし、家計の状況や将来の資金計画に応じて、返済額軽減型とのバランスを見極めることが大切です。
繰上げ返済の効果を最大限に活かすには、住宅ローンシミュレーターなどを活用して自分に合った返済計画を立てることが重要です。
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