海外に長期滞在するために国外転出届を提出した方でも、日本への一時帰国中に病院や歯科にかかりたいケースは少なくありません。この記事では、国外転出後の医療機関利用に関する保険の扱いや、保険適用の可否について詳しく解説します。
国外転出届を出すと健康保険はどうなる?
住民票を日本から抜いた場合、通常は国民健康保険(または職場の健康保険)からも脱退となります。つまり、国外転出者は日本国内の健康保険制度に加入していない状態になります。
このため、保険証は返却済みで、原則として日本での医療費は全額自己負担となります。
一時帰国中に保険に再加入できるのか?
一時帰国の期間が長期(例:3か月以上)であれば、再度住民票を戻し、国民健康保険に加入することは可能です。ただし、数日~数週間の短期滞在では再加入ができない、あるいは市町村に断られるケースがほとんどです。
また、仮に加入できた場合でも、加入日以降の診療しか対象とならず、さかのぼっての給付はできません。
自由診療扱いでも受診は可能
保険証がなくても、日本の医療機関は受診を拒否することはありません。ただし、その場合の診療はすべて自由診療となり、医療費の自己負担は100%となります。
例:通常の保険診療で3,000円で済む風邪の治療が、自由診療では10,000円以上になることもあります。歯科でも同様に、虫歯の治療やクリーニング、義歯の作成なども全額負担になります。
民間保険を利用する選択肢も
海外に居住している方は、現地の民間医療保険や、クレジットカード付帯保険を利用して一時帰国中の診療費をカバーすることも検討できます。中には、「一時帰国中の日本国内医療も補償対象」となる海外滞在者向け保険もあります。
このような民間保険を利用すれば、一定の条件を満たす限り診療費の補填が可能です。ただし、加入前の既往症や歯科の治療(特に予防・美容目的)は対象外になることも多いため、事前確認が重要です。
歯科治療は保険適用になるのか?
歯科治療も保険の対象になりますが、国外転出届を出して保険証を返却した後は、原則として適用されません。自由診療となり、1本の虫歯治療に1万円以上かかる場合もあります。
一方、予防目的の歯石除去やホワイトニング、セラミック治療などは、もともと保険適用外のため、国外転出の有無にかかわらず自費診療となります。
まとめ:医療費対策は事前の準備がカギ
国外転出後に日本の医療機関を利用する場合、基本的には全額自己負担となることを理解しておきましょう。一時的な再加入が可能な場合もありますが、条件や期間に制限があります。
一時帰国中の受診予定がある場合は、あらかじめ日本での医療費に備えた民間保険の加入や、歯科治療の費用見積もりなどの準備が大切です。詳細は居住地の日本領事館や市町村の窓口、または厚生労働省のサイトなどで確認することをおすすめします。
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