退職後に受け取る二つの個人年金(A・B)について、『一時金と年金どちらが得か』『課税後の手取りはどう変わるか』といった悩みはよくあるケースです。高所得層(年収1,400万円)で税金の影響を強く受けるご夫婦にも参考になる情報を、具体例を交えて分かりやすくお伝えします。
年金 vs 一時金:基本的な比較方法
まずは国税庁の説明に基づき、年金は「公的年金等控除」、一時金には「退職所得控除」が適用されます。控除後の課税対象額に所得税率(高所得者で45%など)をかけ、社会保険料や住民税も含めてトータルでの手取り額を比べるのが基本です。
ケースA・Bの比較表(課税後の想定)
項目 | A:一時金 | A:年金 | B:一時金 | B:年金(15年) |
---|---|---|---|---|
受取前金額 | 4,332,300円 | 月24,600×180回 | 3,662,000円 | 月22,100×180回 |
課税控除 | 退職所得控除後に約1,xx万円 | 公的年金等控除後 | 同上 | 同上 |
課税対象 | 一時所得として分離課税 | 雑所得として総合課税 | 同左 | 同左 |
高所得税率 | 45%+復興税 | 45%+復興税(累進) | 同左 | 同左 |
※具体的に手取りを出すには控除適用後の課税額と税率、住民税10%などを乗じますが、高所得者には一時金一括より課税上有利なケースが多い傾向です。
課税方式の違いが手取りに影響する理由
・一時所得:退職所得控除後の1/2のみ課税対象
・年金所得:公的年金等控除後の全額が総合課税の対象
そのため、たとえ年金総額が一時金より多くても、控除の仕組み次第で税負担が大きく変わります。
実例:A・Bの受給方式ごとのシミュレーション
【Aを一時金で一括、Bを年金で受け取る】と比較して、
- 一時金A:控除が大きく、一括でも手取り額に有利
- 年金B:控除後全額課税なので、手取りが減少しやすい
- 両方年金:安定するが、課税負担が継続的に発生
夫65歳、奥さまの生存前提などライフプランを加味すると、老後資金として必要な額や年金額を確保しつつ、課税を抑える組み合わせが有効です。
手取り額で比べる際のチェックポイント
- 年金総額だけでなく、控除後の課税対象額を把握する
- 所得税・住民税・社保料の合算負担を考慮
- 一括受取も年金受取も、節税のため専門家(税理士・FP)の相談が望ましい
まとめ:夫婦での受取組み合わせがポイント
・一時金受取は退職所得控除により節税効果が大きいが、受取タイミングの資金計画が必要
・年金受取は毎月の安定収入に向くが課税負担が継続
・夫婦で経済状況やライフプランを踏まえて、どちらを組み合わせて受け取るかがカギ
・最終判断には実際の課税額や将来の税制変化も見据えて、専門家に相談することが安心です。
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