人生の節目である還暦を迎える60歳。そのタイミングでは、年金や社会保険に関する重要な手続きが発生する可能性があります。特に配偶者が60歳を迎える場合、事前に準備しておくことで、後の手間や不安を軽減できます。この記事では、還暦前に確認すべき社会保険や年金のポイントをわかりやすく解説します。
60歳で発生する主な制度上の変化
60歳になると、厚生年金の「報酬比例部分」が受給可能となるケースがあります。ただし、すぐに年金をもらえるわけではなく、自分で手続きを行う必要があります。
また、多くの企業では60歳を定年と定めているため、勤務状況が変化する方も多いです。勤務先によっては「再雇用制度」により、継続して働くことも可能です。
厚生年金の繰上げ受給・繰下げ受給の判断
厚生年金の老齢基礎年金の受給は原則65歳からですが、報酬比例部分については60歳から受給可能な人もいます。受給開始を繰り上げると受給額は減額され、繰り下げると増額されるため、家計の状況や健康状態を見ながら戦略的に選択することが大切です。
一例として、繰り上げ受給をすると1か月ごとに0.4%ずつ減額され、60歳で受給を開始すれば最大で24%程度の減額となります。
社会保険(健康保険・厚生年金)の扱い
60歳で定年退職し会社を辞めると、厚生年金と健康保険の資格を喪失します。その後の対応としては、次の3つの選択肢があります。
- ① 国民健康保険へ加入
- ② 任意継続被保険者となる(最大2年)
- ③ 家族(扶養者)の健康保険に入る
それぞれ保険料や給付内容が異なるため、どの方法が適しているかは収入や家族構成によって変わります。
配偶者が扶養に入っている場合の注意点
妻が夫の健康保険の扶養に入っている場合、60歳で働き方や収入に変化があると、扶養の要件から外れる可能性もあります。年収が130万円を超えると健康保険の扶養から外れ、自分で保険料を支払う必要が出てきます。
年金でも「第3号被保険者」として扱われていた場合、60歳以降はその資格がなくなり、国民年金の「第1号被保険者」となって保険料を納める必要があります。
今から準備すべき具体的な手続き
以下は、60歳を迎えるにあたり準備すべき代表的な手続きです。
- ・年金請求書類の事前取り寄せ(日本年金機構)
- ・健康保険の今後の加入先確認
- ・再雇用契約の確認
- ・扶養認定の見直し
これらは夫婦間の収入や保険の状況で変わるため、年金事務所や勤務先の人事部門に相談しておくことが重要です。
まとめ:60歳を機に制度を賢く活用しよう
配偶者が60歳を迎える際は、社会保険や年金制度においていくつかの切り替えポイントが発生します。事前に制度を理解し、手続きを準備しておくことで、金銭的・手続き的な混乱を避けることができます。
制度は人によって適用が異なる部分もあるため、最終的には「日本年金機構」や「健康保険組合」などの公的機関での確認がおすすめです。
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