収入が少ない方や失業中の方にとって、国民年金保険料の支払いは大きな負担になります。しかし、日本には一定の条件を満たせば保険料を免除または猶予できる制度が用意されています。今回は、前年の所得が低い場合や扶養に入っている場合の対応についてわかりやすく解説します。
国民年金保険料免除制度の仕組み
国民年金には保険料の「全額免除」「一部免除」「納付猶予」「学生納付特例」などの制度があります。これらは、前年所得が一定以下であれば、申請により適用されます。
たとえば2024年度の免除審査は2023年の所得を基準に行われ、単身者で全額免除を受けるには、基準所得額が57万円+控除額以下であることが目安となります。
パート収入があっても免除は可能
仮にパート収入で年間70万円台であっても、控除対象(基礎控除・社会保険料控除など)によっては全額免除の対象になることがあります。実際に年収70万円程度で雇用保険料を支払っているケースでは、控除額を差し引けば免除基準を満たす可能性があります。
収入がある=免除不可というわけではなく、所得の種類と控除内容によって判断されます。
扶養に入っている場合の扱い
国民年金第1号被保険者であれば、扶養関係の有無にかかわらず自身で保険料を納付する義務があります。ただし、生活が苦しい場合は扶養者(兄弟など)と同居で生計を一にしているとみなされ、申請時にその情報も加味されます。
一方、会社員や公務員の扶養に入っている「第3号被保険者」であれば、保険料の支払い義務はありません。扶養者の状況によって種別を確認することも重要です。
免除申請は毎年必要です
一度免除が認められても、自動継続されるわけではありません。毎年度6月下旬ごろから、役所または年金事務所での申請が必要になります。
申請にはマイナンバー、本人確認書類、前年の所得状況がわかる書類(源泉徴収票や収支内訳書など)を用意しておきましょう。
申請後の通知と手続きの流れ
免除申請をすると、約1〜2か月後に「保険料免除・納付猶予承認通知書」が届きます。これで正式に免除が認められたことになります。万が一却下された場合でも、異議申立てや再申請が可能です。
また、免除期間分は将来の年金額に影響しますが、全くカウントされないわけではなく、「受給資格期間」には含まれます。さらに10年以内であれば追納も可能です。
まとめ:収入が少なくてもあきらめないで
国民年金保険料の免除制度は、低所得や経済的困窮に配慮された制度です。条件を正しく理解し、手続きを行えば保険料負担を減らすことができます。
ご自身の収入状況に不安がある方は、ぜひ最寄りの年金事務所や市区町村窓口に相談してみましょう。
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