就職や転職などで健康保険の種類が切り替わるタイミングでは、「保険料が二重に請求されるのでは?」「どちらの保険証を使えばいいの?」といった不安が生じることがあります。今回は、国民健康保険から社会保険への切り替え時期における実務的な注意点について詳しく解説します。
国民健康保険と社会保険の基本的な仕組み
日本の公的医療保険制度には「国民健康保険(国保)」と「社会保険(健康保険)」の2種類があります。自営業や退職者は国保、会社員や公務員は社会保険に加入します。
転職などで社会保険に切り替わる際には、原則として二重加入・二重請求は発生しませんが、適切な手続きを怠ると請求や保障に不都合が生じる可能性があります。
保険切り替え時のタイミングと課題
今回のケースのように、5月1日から国民健康保険に加入し、6月9日から社会保険に加入する予定の場合、6月1日〜6月8日の医療費に国保を使用することは問題ありません。
ただし、社会保険の資格取得日=6月9日であるにも関わらず、保険料が「6月分から」かかるように見えるため、「6月は国保も社保も請求されてしまうのでは」と誤解されがちです。
実際の保険料はどうなる?
国民健康保険は「月単位」で保険料が課され、1日でもその月に在籍していれば1か月分の保険料が発生します。一方、社会保険も同様に「月単位」で保険料が課され、資格取得月の1日以外の日に取得した場合でも、その月分の保険料は徴収されるのが一般的です。
つまり、6月1日~8日は国保、6月9日~30日は社保という状態でも、6月分は両方から保険料請求があることがあります。
二重請求への対応方法
こうしたケースでは「二重に保険料を払うのは不公平」と思われるかもしれませんが、社会保険に切り替えた後に国保の脱退手続きをすることで、国保側の6月分保険料が還付される可能性があります。
このため、社会保険の加入証明(資格取得証明書)を市区町村の役所に提出し、国保の脱退手続きを早急に行うことが重要です。これにより、6月分の国保保険料が調整・還付されることがあります。
医療機関での対応と注意点
6月1日〜8日の期間に医療機関を受診する場合は、国保の保険証を提示して問題ありません。ただし、6月9日以降に受診する際には、社会保険証が届いていない場合でも「資格取得日が6月9日」であることを医療機関に伝え、後日保険証を提示することで精算されます。
仮に誤って国保を使ってしまった場合でも、後日正しい保険証情報を提出すれば、返金や再請求の手続きが可能です。
まとめ:切り替え時は事務手続きを忘れずに
国民健康保険から社会保険への切り替え時には、短期間の重複によって「二重請求」が発生するように見えることがありますが、適切な脱退・加入の手続きを行えば、保険料が重複して徴収される事態は基本的に回避できます。
保険証の使用時期と保険料の請求タイミングを整理し、必要であれば市区町村の窓口や勤務先の総務部門に相談するのが安心です。タイミングが少しずれることで損をしないためにも、正確な情報と手続きが重要です。
コメント