医療保険の見直しをする際に気になるのが「先進医療特約」の重複加入による給付の可否です。実際に複数の保険に加入している場合、それぞれから給付金が出るのか、またどのような制限や条件があるのかを解説します。
先進医療特約とは何か
先進医療特約は、健康保険ではカバーされない高度な医療技術(例:重粒子線治療や陽子線治療)にかかった費用を補償する特約です。治療費が数十万〜数百万円になるケースもあるため、多くの医療保険で加入が推奨されています。
先進医療特約をつけることで、治療にかかる実費を最大2000万円程度までカバーできる商品が多く、精神的にも経済的にも大きな安心となります。
重複加入しても保険金は受け取れる?
基本的に、先進医療特約は「定額給付」ではなく「実費補償」です。そのため、1回の治療に対し、複数の保険会社から重複して満額受け取ることはできません。
例えば、先進医療に100万円かかった場合、それがA社でもB社でも補償の上限を満たす金額であれば、合計して100万円以上が支払われることはありません。ただし、治療費を超えない範囲で分割して支払われるケースもあります。
保険会社間での調整はあるのか?
保険会社によって運用が異なるため、一部の保険会社では「他社で給付を受けた場合は支払対象外」と定めていることがあります。これは主に保険約款の「他の保険との関係」条項に基づいており、実際には保険会社間で給付額を調整することもあります。
ただし、被保険者が複数の契約をしている場合でも、申請すればそれぞれの会社が支払うことが可能なケースもあるため、担当者による説明に食い違いが出ることもあるのです。
実際の事例:2社から給付が受けられたケース
実例として、ある方はA社とB社の医療保険に加入しており、先進医療に120万円を支払いました。両社とも先進医療特約をつけており、申請した結果、それぞれの契約内容に基づいて合計120万円が支払われました。
一方で、別の方はC社からは給付されたが、D社からは「他社で給付されたので対象外」とされました。これはD社が実費精算を厳格に運用していたためです。
被っていてもムダにならない?
一見すると、重複して保険料を払っていることが無駄に思えるかもしれません。しかし、保険会社ごとに補償範囲・金額・支払要件が異なるため、リスク分散の観点から重複加入にも一定の価値はあります。
また、A社の支払い限度額を超えた場合、B社から差額を受け取れる可能性もあります。
先進医療給付を受ける際のポイント
- 加入している保険会社すべてに申請の可否を問い合わせる
- 治療を受ける前に「先進医療の対象か」確認
- 保険約款で「重複加入時の支払条件」をチェック
- 必要であればファイナンシャルプランナーや保険代理店に相談する
特に「どの保険から先に申請するか」で給付結果が変わることもあります。迷ったら、保険ショップなどの中立的なアドバイザーに相談するのがおすすめです。
まとめ:正確な情報をもとに対応を
先進医療特約は、重複加入していても給付が受けられる可能性はありますが、契約ごとの条件次第です。あらかじめ各保険会社に確認し、書面で回答をもらうことがトラブル回避につながります。安心して医療を受けるためにも、今一度ご自身の契約内容を見直しておきましょう。
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