障害者の方や低所得世帯にとって、住民税の非課税世帯であることには大きなメリットがあります。特に国民健康保険料の軽減や各種助成の対象になるため、事業を開始する場合でも「いかに非課税世帯を維持するか」が重要なポイントになります。今回は、合同会社設立を視野に入れながら年収や保険料について具体的に考察していきます。
住民税非課税世帯の年収基準は?
住民税が非課税となる基準は自治体によって多少異なりますが、一般的には以下の条件を満たす必要があります。
- 単身世帯で障害者の場合、所得125万円以下(給与収入ベースでおよそ204万円以下)
- この金額を超えると住民税が課税される可能性があります
たとえば、給与収入で204万円以下であれば住民税の均等割・所得割ともに非課税になるケースが多いです。逆に事業所得の場合は「収入−必要経費=所得」で判断されます。
合同会社で事業を行う場合の課税と保険料の仕組み
合同会社(LLC)を設立し、自身が代表社員として報酬を受け取る場合、「役員報酬」が給与所得扱いになります。また、会社の利益には法人住民税や法人税がかかるため、個人としての所得を抑えながら会社に利益を残すことで非課税世帯の条件を維持できる可能性があります。
たとえば、会社の売上が400万円あっても、役員報酬を年間204万円以下に抑えれば、個人としては非課税でいられる可能性があります。ただし、法人の利益には法人税(約15%〜)が課されるため、税金が「会社側」に移ることになります。
国民健康保険料を安く抑えるには
国民健康保険料は自治体ごとの「所得割」「均等割」「平等割」などで構成されており、所得が増えるほど負担が増します。しかし、住民税非課税世帯であれば国保料が7割または5割軽減されるなど、自治体によって強い支援があります。
合同会社で役員報酬を年間204万円以下に抑えて住民税非課税を維持できれば、国保料も大幅に軽減され、年間数万円程度で済むケースが多く見られます。具体的な保険料は各自治体のシミュレーターや窓口確認が必要です。
年収400万円の収入がある場合の対処法
もし事業で年収400万円の売上がある場合でも、経費を200万円計上して個人の所得を200万円以下にできれば、非課税世帯の条件に近づけることは可能です。または、法人化して収益のうち役員報酬を最低限に抑え、残りを法人の内部留保にすれば個人課税を抑えることもできます。
この場合、法人に残った利益については将来的に配当や賞与という形で取り出すことも可能で、中長期的な節税スキームとして活用されます。
障害者控除の活用でさらなる非課税の可能性も
障害者であれば、障害者控除27万円または特別障害者控除40万円が受けられます。これにより課税所得をさらに減らせるため、実質的にもう少し高い所得でも非課税の範囲に収まる可能性があります。
これを活用することで、たとえば役員報酬を210万円程度まで引き上げても非課税となる場合があるので、控除を最大限活用することが大切です。
まとめ:非課税世帯維持の鍵は「所得の見せ方」
年収400万円でも合同会社を活用すれば、個人としての所得を非課税ラインに抑えることは可能です。住民税非課税を維持できれば、国保料も大幅に軽減され、障害者控除などを併用すればさらなる節税も期待できます。
最終的には、税理士や社労士など専門家に相談することで、適切な法人運営と保険料の抑制が可能になります。自分にとって最もメリットのある選択肢をじっくり検討しましょう。
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