学生時代に「学生納付特例制度」を利用して国民年金の保険料を猶予していた場合、将来的にその期間の保険料を追納することが可能です。特にお子様が社会人になるタイミングでは、追納のタイミングや控除対象の年によって税制上の扱いが変わるため、正しく理解しておくことが重要です。
学生納付特例制度とは
「学生納付特例制度」とは、学生の間に所得が少ないことを理由に、国民年金の保険料納付を猶予できる制度です。対象となるのは、20歳以上の学生で本人の所得が一定以下の場合。将来、最大10年以内であればこの猶予期間の保険料を追納することが可能です。
追納には時効があるため、早めに対応することが推奨されます。また、猶予された期間を追納すれば、将来の年金受給額が増えるメリットもあります。
追納による保険料控除の対象となる条件
国民年金の追納を行うと、その支払った年の「社会保険料控除」として所得控除を受けることができます。つまり、2026年分の年末調整や確定申告で控除を受けたい場合、2026年1月1日から12月31日までの間に支払った年金保険料が対象になります。
たとえば、2026年3月末に保護者が追納した場合は、その年の控除に反映可能です。一方、2026年4月以降に子供自身が追納した場合は、子供自身の所得控除として計上されます。
保護者が追納した場合の控除の取り扱い
国民年金保険料の支払い者が「本人または生計を一にする配偶者や親族」であれば、控除を受けることができます。したがって、子供が学生で親の扶養に入っている状態で、親が追納を行った場合は、親が保険料控除の対象として申告することが可能です。
ただし、子供が就職して独立し、生計を一にしていないと見なされる場合は、追納しても親の控除対象にはなりません。そのため、就職直前までに追納を済ませておくのがベストです。
追納のタイミングによる違い
次のようなタイミングごとの控除適用の例を見てみましょう。
追納時期 | 控除を受ける人 | 控除年度 |
---|---|---|
2026年3月中 | 親(生計同一) | 2026年分 |
2026年4月以降 | 子(就職済) | 追納した年分 |
2025年中 | 親(生計同一) | 2025年分 |
このように、控除を受けるためには「誰が支払ったか」「いつ支払ったか」が大きなポイントとなります。
控除を受けるための申告手続き
年金保険料の支払い後、日本年金機構から「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が送付されます。この証明書を会社の年末調整または確定申告で提出することで控除が適用されます。
なお、追納した場合でも、証明書が届くのは少し遅れることがあります。紛失した場合は、再発行も可能ですので、年金事務所へ問い合わせましょう。
まとめ:控除を最大限活用するためには早めの追納を
学生納付特例制度を利用していたお子様が社会人になる前に、親が追納を行えば、その年の保険料控除の対象とすることができます。ただし、支払いのタイミングや支払者によって控除の対象が変わるため、計画的な手続きが重要です。
年金事務所や税務署などに事前に相談し、控除を確実に受けられるように準備しておくことをおすすめします。
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