家族が亡くなった際、年金制度に関する給付のひとつに「死亡一時金」があります。これは国民年金に一定期間加入していた人が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らずに亡くなった場合に支給される制度です。意外と知られていないこの制度について、具体的な条件や請求方法を解説します。
国民年金の死亡一時金とは?
死亡一時金とは、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた人が、年金を受け取らずに亡くなった際に、遺族に支給される給付金です。これは一時金として支給されるもので、年金のように継続して支払われるものではありません。
この制度は、年金を受け取る前に亡くなった方の保険料納付を一定の形で補うために設けられており、納付実績がある人に限られます。
死亡一時金を受け取るための条件
この給付を受け取るには、次のような条件があります。
- 亡くなった方が国民年金の第1号被保険者であったこと
- 保険料を3年以上納付していること(免除期間を含まない)
- 老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取ったことがないこと
- 死亡後2年以内に申請すること
たとえば、自営業で長年保険料を納めていた方が年金を受給する前に急逝した場合、配偶者や遺族が申請することで受給できます。
いくら受け取れる?支給金額の目安
支給される金額は、亡くなった方が納付していた期間によって異なります。令和6年度時点での目安は以下の通りです。
納付済期間 | 支給金額 |
---|---|
36〜59月 | 12,000円 |
60〜119月 | 19,000円 |
120〜179月 | 22,000円 |
180〜239月 | 25,000円 |
240〜299月 | 28,000円 |
300月以上 | 32,000円 |
※この金額は年度ごとに変動する可能性があるため、最新情報は日本年金機構の公式サイト等で確認するようにしましょう。
申請方法と必要書類
死亡一時金の請求は、亡くなった方の死亡日から2年以内に行う必要があります。申請先は市区町村役場の年金窓口か、年金事務所です。
必要な書類は次の通りです。
- 死亡一時金裁定請求書
- 亡くなった方の戸籍謄本
- 請求者の身分証明書
- 亡くなった方の年金手帳(または基礎年金番号)
- 受取口座の通帳コピー
窓口で不備がないよう、事前に必要書類を電話などで確認しておくとスムーズです。
寡婦年金との関係にも注意
国民年金の遺族給付には「死亡一時金」以外に「寡婦年金」もあります。ただし、この2つは併給できません。どちらか一方の選択が必要です。
寡婦年金は亡くなった夫の年金納付実績を元に、60歳から65歳まで支給される制度で、金額は年金形式で支給されます。一時金と年金、どちらが自分にとって有利かをよく考えて選びましょう。
まとめ
・死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者が年金を受け取らずに死亡した場合に遺族が請求可能
・納付期間や年金未受給など、いくつかの条件がある
・寡婦年金との選択が必要な場合もある
大切な家族が納めてきた保険料を無駄にしないためにも、制度を理解し、必要な手続きを行いましょう。
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