「106万円の壁」「130万円の壁」とは?扶養と社会保険の境界を正しく理解しよう

社会保険

パートやアルバイトなどで働く方にとってよく耳にする「106万円の壁」や「130万円の壁」。これらの境界を意識することで、税金や社会保険の負担を抑えつつ働くことができます。この記事では、それぞれの壁の意味や違い、そして「手取り」ではなく「総支給額」で判断される理由について詳しく解説します。

「〇〇万円の壁」は総支給額で判断される

まず押さえておきたいのが、「106万円の壁」「130万円の壁」などの金額は手取り額ではなく総支給額(額面)を基準にしているという点です。

例えば、年間の給料が106万円であれば、それが社会保険加入義務の有無の判断基準になります。実際に受け取る手取り額が106万円以下であっても、額面が106万円を超えていれば、壁を越えたとみなされるのです。

106万円の壁とは何か?

「106万円の壁」は、短時間労働者でも社会保険に加入しなければならない条件の一つとして注目されています。具体的には、以下の条件をすべて満たすと、厚生年金・健康保険の加入対象となります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が88,000円以上(年収約106万円以上)
  • 勤務期間が2ヶ月を超える見込み
  • 従業員101人以上の企業(2026年10月からは51人以上に拡大)
  • 学生ではないこと

この基準を満たすと、本人が社会保険料を負担する必要があり、手取りが減る可能性があります。

130万円の壁とは何か?

一方「130万円の壁」は、扶養から外れるかどうかの基準です。年収が130万円を超えると、配偶者の社会保険の扶養から外れ、自身で国民年金・国民健康保険に加入する必要が出てきます。

つまり、年収130万円以下であれば、配偶者の扶養に入ったままで社会保険料の負担を免れることができるのです。

なぜ「手取り」ではなく「総支給額」なのか?

税制や社会保険制度は、公平性を保つため、計算基準を「総支給額(額面)」で統一しています。手取り額は控除額によって個人差が出るため、制度の適用基準には不向きです。

たとえば、同じ収入額でも扶養人数や保険料率によって手取りが異なるため、手取り基準にしてしまうと制度運用が難しくなるのです。

実例:年間収入と壁の関係

例1:パート勤務で年収105万円の場合
→「106万円の壁」を超えていないため、社会保険に加入義務なし。配偶者の扶養内。

例2:年収108万円で従業員101人以上の企業に勤務
→すべての条件を満たすため、「106万円の壁」を越え、厚生年金・健康保険の加入が必要になります。

例3:年収132万円の場合
→「130万円の壁」を超えているため、配偶者の扶養から外れ、国民健康保険・国民年金に加入。

注意点:交通費や賞与も含まれる?

「総支給額」には、基本給だけでなく、交通費や残業代、各種手当、賞与なども含まれます。そのため、うっかりこれらを含めて壁を越えてしまうケースもあるので注意が必要です。

特に交通費が非課税扱いでも、社会保険加入条件の「月額賃金」には含まれることがあるため、雇用契約時や年末前には給与明細をしっかり確認しましょう。

まとめ:壁を理解して上手に働く

「106万円の壁」「130万円の壁」は、いずれも総支給額を基準に判断される重要な制度です。制度を正しく理解し、自身の働き方やライフスタイルに合った収入設計をすることで、手取りと負担のバランスを最適化できます。年末が近づく前に一度、年間の収入見込みをチェックしておくことをおすすめします。

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