なぜガソリンスタンドでQRコード決済が広がらないのか?手数料・設備投資・運用リスクの視点から整理

決済、ポイントサービス

「ガソリンスタンドでPayPayなどのQRコード決済が使えない/対応していない店舗が多いのは、手数料や機器導入、運用面で“利益が出にくいから”という話を聞いたことがあるかもしれません。実際には、手数料率だけでなく給油に特有の取引構造や安全・機器設計・加盟店契約など、複数の要因が絡んでいます。本記事では、なぜガソリンスタンドでQRコード決済の普及が遅れているのかを、最新事例も交えて解説します。

ガソリンスタンド決済の基本構造とキャッシュレス化の現状

ガソリンスタンドは給油という商品の特性上、“給油量/金額が事前に確定しにくい”、“流動客が多い”、“夜間・セルフ形式が多い”などの特徴があります。こうした構造が決済方式の選定にも影響しています。
また、QRコード決済については、小売・飲食店と比べ導入率が低く、たとえば大手系列では「順次対応を開始」という段階にとどまっています。[参照]

例えば、コスモ石油では、サービスステーションの一部店舗にてPayPay・楽天ペイ・d払いなどQRコード決済を導入していることが確認されています。([参照](https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/services/ss/qr.html)) :contentReference[oaicite:2]{index=2}

導入が遅れる主な理由① 決済手数料と加盟店負担

キャッシュレス決済を導入する際、店舗が支払う「加盟店手数料」がコストになります。一般にガソリンスタンド業種ではクレジットカード決済手数料相場が約1.5~2.5%とされています。([参照](https://orend.jp/mag/a0138)) :contentReference[oaicite:3]{index=3}

QRコード決済では、端末レンタル・通信回線・決済代行の契約料などが上乗せされることがあり、また給油という“量が確定しない取引”のため与信・管理コストが通常より高くなる傾向があります。さらに、政府のキャッシュレス補助対象外となる事業形態(ガソリンスタンド・フランチャイズチェーン)もあります。([参照](https://merpay.com/merchant/useful/tax/post_10.html)) :contentReference[oaicite:4]{index=4}

導入が遅れる主な理由② 設備・運用のハードル

給油機やレーンでの支払い方式変更には、機器改修・ネットワーク設備・給油機画面のアップデートが必要となるケースがあります。セルフ給油機にQRコード決済選択のタッチパネルを追加するなど、設備投資のハードルが高いです。

また、給油金額が満タン指定・数量指定・レーン監視など複雑なため、QR決済導入時には「事前確定金額ホールド」「おつり返却」など運用面の設計が必要です。実際、スマホ給油サービスでは「満タン給油の場合、事前に多めの金額をホールドする」旨が案内されています。[参照]:contentReference[oaicite:5]{index=5}

導入が遅れる主な理由③ 与信/リスク管理と取引金額の規模

給油所の一回あたり取引金額が高額(数千~数万円)になることも多く、決済失敗・未収リスク・二重引き落としの可能性を低く抑える必要があります。QRコード決済の仕組みでは、店舗側が「確定前の与信枠確保」を行ったり、決済後に数量が少なかった場合に“おつり返却”処理をしなければならないケースもあり、運用コストが上がりがちです。

さらに、加盟店契約の枠組みでは、ガソリンスタンドは“フランチャイズ”化されていることが多く、親会社→子会社店舗への契約・決済導入の意思決定が複雑になることがあります。これにより、QRコード決済対応は一部系列・限定店舗のみという状況が続いています。([参照](https://innovation-crew.co.jp/media/dpaymentservicestation/)) :contentReference[oaicite:6]{index=6}

ただし、対応が進んでいる事例もある

たとえば、太陽石油では2025年3月10日から、56店舗にて楽天ペイ・PayPay・d払い・au PAY・メルペイといった複数のQRコード決済を順次導入すると発表しています。([参照](https://www.taiyooil.net/news/2025/24-088.html)) :contentReference[oaicite:8]{index=8}

また、農協系のガソリンスタンド(JA‑SS)では、「タッチパネルから“QRコード決済”を選択→給油機にQR表示→スマホで読み取り」など明確なQR決済フローを紹介しています。[参照]:contentReference[oaicite:10]{index=10}

まとめ

結論として、ガソリンスタンドでQRコード決済が普及しにくい背景には、単純な「利益が出ないから」という以上に、決済手数料・設備/運用コスト・与信・ハイリスク取引構造という複数の壁が重なっています。

とはいえ、少しずつ導入を進める動きも見えており、給油所側・決済サービス側それぞれが「対応コストをどう抑えるか」「安全かつスピーディに運用できるか」を検討している段階と言えます。給油所を利用する際には、QRコード決済に対応しているかどうかを店舗検索で確認してから訪れるのがおすすめです。([参照](https://gogo.gs/news/contents/1717134425)) :contentReference[oaicite:11]{index=11}

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