従業員が海外に出国する際、年末調整で還付が発生し仮払金で処理した税金は、その後の源泉所得税納付時にどう扱えばよいか悩むケースが多いです。本記事では仕訳や申告時期も含め、実務担当者向けにわかりやすく解説します。
出国前の年末調整と仮払金処理の基礎
海外赴任や出国に際しては 出国日までに年末調整を実施し、還付があれば従業員に支払い、その分を〈仮払金〉等で処理します。国税庁も出国時年末調整を義務付けています :contentReference[oaicite:0]{index=0}。
従業員へ振込で支払った仮払金は、仮払金(または預り金マイナス)として仕訳され、年内に処理が完了しています。
月次の源泉税納付時にどう扱うか?
通常、月10日の源泉納付時には前月分の預り金を納付します。ところが年末調整で還付が多く預り金がマイナスになるケースもあります :contentReference[oaicite:1]{index=1}。
この場合は次回以降の納付額から差し引きます。仮に12月分預り金が‑10,000円であれば、1月納付時にその分を控除して納付額0円、2月以降に残額があればそちらから差し引きます :contentReference[oaicite:2]{index=2}。
仕訳イメージと処理例
たとえば12月の源泉預り金 50,000円、年末調整還付 60,000円のとき。
預り金が‑10,000円となり、納付額はゼロ。翌1月分源泉徴収額 50,000円から差し引き、実納付額 40,000円になります :contentReference[oaicite:3]{index=3}。
処理時期 | 預り金残高 | 納付額 |
---|---|---|
年末調整後 | ‑10,000円 | – |
1月納付時 | 50,000円‑10,000円=40,000円 | 40,000円納付 |
仕訳例
1月に納付する際の仕訳。
借方〈預り金〉40,000円/貸方〈現金預金〉40,000円
年末調整時の‑10,000円分は繰越調整され、自動的に仕訳上の調整対象となります。
留意点:仮払金との区別/納期の特例
仕訳上、仮払金を使って還付処理した場合でも、その後の納付では預り金残高に含めて差し引きを行います :contentReference[oaicite:4]{index=4}。
また、「納期の特例」で半年ごと納付する場合でも、還付額が大きいとマイナス残高になることがありますが、その場合も同様に翌期に控除します :contentReference[oaicite:5]{index=5}。
まとめ:いつ差し引く?実務の流れ
出国前に年末調整で発生した還付→仮払金処理は、そのまま源泉所得税の預り金残高に反映されます。
そして翌月以降の月次納付において、マイナス分を繰越・差し引くため、年末まで保留する必要はなく、月10日の納付額から自動的に相殺されます。
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