パートで社会保険加入時の報酬月額はどう決まる?月収と契約内容から理解する仕組み

社会保険

2025年10月の社会保険適用拡大を前に、パートタイム勤務者の社会保険加入要件や報酬月額の決定方法について関心が高まっています。特に「どの収入額を基に保険料が決まるのか?」という疑問は多くの方が直面するポイントです。本記事では、契約変更と実際の勤務実績を踏まえた報酬月額の決定基準について解説します。

社会保険加入時の「報酬月額」の定義

社会保険(健康保険・厚生年金保険)においては、「報酬月額」とは毎月支払われる給与や手当などの総額を指し、これを基に保険料が決定されます。時給で働いている場合は、「1カ月に働く時間数 × 時給」で算出される予定月収が目安となります。

ただし、実際に保険料が決定されるタイミングでは、「標準報酬月額」に基づいて計算され、これは加入後3カ月間の実績により決まる「随時改定」や「定時決定」の制度により見直されることがあります。

初回の保険料計算に使われる収入の根拠は?

結論から言うと、保険加入直後の標準報酬月額は、雇用契約書などに基づいて見込み額を設定することが一般的です。つまり、質問のケースで言えば、①新たに作成する雇用契約書に記載された勤務日数や時間・給与が基準となります。

たとえば「7月から社会保険に加入」する場合、7月1日時点の契約に基づく月収(時間数×時給)で仮の標準報酬月額が設定され、その後、実際の勤務実績に基づいて3カ月後に見直されることになります。

4〜6月の給与実績はどう扱われる?

原則として、7月1日が初めての社会保険加入である場合、4〜6月の給与は「定時決定」の対象外となります。定時決定(毎年7月実施)は6月30日時点で保険に加入している人が対象のため、7月1日からの新規加入者には該当しません。

したがって、加入前の収入実績は参考として扱われる場合があるものの、正式な標準報酬月額の決定には使用されません。

報酬月額の決定とその後の変更の流れ

加入当初は契約書に基づく見込み月収を基に「仮の標準報酬月額」が設定されます。実際に働いた給与がこれと大きく異なる場合、3カ月間の平均額が「随時改定」として採用され、保険料が再計算されます。

例:7月1日に加入し、7月〜9月に実際の給与が平均15万円だった場合、10月に標準報酬月額が改定され、その額に応じた保険料が設定されます。

実例:パート勤務から社会保険加入したケース

あるパート従業員Aさんは、時給1,200円・週5日・1日6時間勤務で、月収約14万4,000円。7月1日から社会保険に加入するにあたり、契約書に基づく月収で標準報酬月額が設定されました。その後、実際には残業や追加勤務が重なり月収が16万円近くになったため、10月に随時改定で標準報酬月額が引き上げられました。

まとめ:報酬月額は「契約ベース」+「実績で見直し」

社会保険加入時の保険料計算は、まず雇用契約書に基づいた給与見込みが基準となります(①が該当)。その後、実際の勤務時間・給与実績により見直される仕組みがあるため、正確な契約内容と勤怠管理が重要です。

安心して制度を活用するためにも、契約変更時は内容をしっかり確認し、必要に応じて社労士や人事担当へ相談することをおすすめします。

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