社会保険料は毎月の給与に直結する大きな支出です。特に標準報酬月額が変更されると、保険料負担額にも影響を及ぼします。この記事では、標準報酬月額が2等級変わった場合に、本人負担額がどのくらい増減するのか、40歳以上で介護保険が含まれているケースを前提にわかりやすく解説します。
標準報酬月額とは?まずは仕組みを理解しよう
標準報酬月額は、社会保険料(健康保険・厚生年金保険・介護保険など)の算定基準となる月収の等級です。4月~6月の給与を基にして9月に改定されるのが一般的です。
たとえば月収が30万円程度であれば、「標準報酬月額30万円」の等級に分類されます。等級は1等級(58,000円)から32等級(650,000円)まであり、1つ上がるごとに約2万円〜3万円ずつ増加していきます。
保険料率と負担の仕組み:本人と会社で折半
社会保険料は、企業と従業員でほぼ折半する仕組みになっています。主に以下の3つが本人負担となります。
- 健康保険料(介護保険含む)
- 厚生年金保険料
- 雇用保険料(今回は省略)
たとえば東京都で協会けんぽに加入している場合、令和6年度の保険料率は以下のとおりです。
- 健康保険:9.87%(うち本人負担4.935%)
- 介護保険(40歳以上):1.60%(本人負担0.80%)
- 厚生年金:18.3%(うち本人負担9.15%)
標準報酬月額が2等級アップした場合の負担額の変化
例として、等級が「28等級(320,000円)」から「30等級(360,000円)」に2等級アップした場合の保険料増加を試算します。
項目 | 28等級 (320,000円) |
30等級 (360,000円) |
---|---|---|
健康保険料 | 約15,792円 | 約17,748円 |
介護保険料 | 約2,560円 | 約2,880円 |
厚生年金保険料 | 約29,280円 | 約32,940円 |
本人合計負担 | 約47,632円 | 約53,568円 |
このように、2等級分(およそ4万円の増収)に対して、月額約5,936円の本人負担増が発生することになります。
昇給後の注意点と対策
等級が上がると一見収入も増えて嬉しい反面、社会保険料も同時に増加するため、手取り額がそれほど増えないことも。特に年収の壁(例:130万円、106万円、180万円など)を意識する立場の方は注意が必要です。
また、介護保険の対象となる40歳以上の方は健康保険料の上乗せもあるため、若年層よりも負担が高くなる傾向にあります。老後資金準備と合わせて家計を見直す良い機会といえるでしょう。
まとめ:2等級の違いでも年間7万円近い差に
標準報酬月額が2等級上がると、本人の月額社会保険料負担は約6,000円程度増加します。これは年間にすると7万円超の増加です。給料アップに比例して増えるため見落としがちですが、手取りが思ったより増えないと感じたときはこの仕組みを確認すると納得できるかもしれません。
保険料の負担は避けられませんが、社会保障の恩恵もある制度です。長い目で見て、自分に合ったキャリア・収入戦略を立てていきましょう。
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