パート・アルバイトで複数の職場を掛け持ちしている方にとって、「社会保険の加入条件を満たすのはどのタイミング?」というのは非常に重要なポイントです。特に、週20時間・月8.8万円という基準を超えるかどうかで、社会保険に加入する義務が生じる可能性があるため、正しい知識を持って判断することが大切です。
社会保険の加入基準とは?
まずは基本となる基準を確認しましょう。社会保険(厚生年金・健康保険)に加入する条件は以下のとおりです(2024年現在)。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 月額賃金が88,000円以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 学生でないこと
- 勤務先が従業員101人以上(2026年から51人以上に変更予定)
このすべてを満たすと「短時間労働者(パート)でも社会保険の適用対象」になります。
複数の職場を掛け持ちする場合の社会保険の取り扱い
社会保険の加入判定は、基本的に「1つの事業所ごと」で判断されます。つまり、掛け持ちしていても、それぞれの職場ごとに勤務時間や収入が基準を超えていなければ、原則として社会保険加入にはなりません。
例えば、A社で週15時間・月収6万円、B社で週10時間・月収4万円というように、通算すると88,000円を超えていても、それぞれの職場で基準を満たさなければ加入義務は発生しません。
1社が社会保険対応、もう1社が非対応の場合の扱い
ご質問のように「1社は社会保険加入の制度がある」「もう1社は非対応(小規模事業所など)」というケースでは、社会保険制度がある側の1社でのみ加入の判断がされます。
つまり、社会保険対応企業で週20時間以上・月8.8万円以上の条件を満たしていれば、その会社を通じて社会保険に加入する必要があります。非対応企業側の勤務内容は、原則として社会保険の加入判断に影響しません。
例でわかる社会保険加入の可否
ケース1:A社(社会保険対応)週15時間・月7万円、B社(非対応)週10時間・月4万円
→ どちらも単体で基準未満のため、社会保険加入不要
ケース2:A社(社会保険対応)週22時間・月収9万円、B社(非対応)週5時間・月収1万円
→ A社単体で加入条件を満たすため、社会保険加入が必要
ケース3:A社(非対応)週25時間・月9万円、B社(非対応)週10時間・月5万円
→ 両社とも制度未導入のため、どちらも社会保険加入不要(ただし年収130万円超なら扶養外れる可能性)
社会保険に入りたくないときの対策
社会保険への加入を避けたい場合は、次の点に注意しましょう。
- 社会保険がある会社での週労働時間を20時間未満に抑える
- 月収を88,000円未満に調整する(時給×時間で管理)
- 働く期間を2ヶ月未満にする(短期雇用)
ただし、社会保険に加入することで将来の年金や医療保障が手厚くなるメリットもあるため、加入=損と決めつけず、ライフプランに合った働き方を検討することも大切です。
まとめ:掛け持ちでも社会保険の判断は「勤務先ごと」
社会保険の加入基準(週20時間・月8.8万円以上)は、掛け持ちしている場合でも各職場ごとに個別に判定されます。通算して基準を超えても、それぞれが未満であれば加入義務は生じません。
ただし、社会保険制度がある勤務先で基準を満たせば、加入が必要になりますので、自身の労働条件をしっかり確認し、必要に応じて勤務先に相談しておくと安心です。
コメント