ひとり親家庭にとって心強い支援策の一つである「母子医療費助成制度」。しかし、就職や収入状況の変化によって「制度がいつまで利用できるのか」「急に自己負担が増えるのか」といった不安を抱くことも少なくありません。この記事では、母子家庭での医療費助成がいつ打ち切られるのか、また継続の可否について、制度の仕組みや具体的な収入基準をもとに解説します。
母子医療費助成とは?基本的な仕組み
母子医療費助成制度は、ひとり親家庭の親と子どもが医療機関での診察を受ける際に、自己負担分の一部または全部を自治体が助成する制度です。
助成内容や自己負担割合は自治体によって異なりますが、多くの場合は「保険診療の自己負担(3割)のうち、全額または一部を助成」する仕組みとなっています。
助成継続の判断は“前年所得”で決まる
母子医療費助成を継続できるかどうかは、基本的に毎年6月〜7月にかけて自治体が行う「更新手続き」で判定され、前年(1月〜12月)の所得をもとに助成の可否が決まります。
つまり、現在の就業状況や今後の見込み収入よりも、“昨年の年収が基準額を超えているかどうか”が判断基準です。例えば、2024年6月の更新では2023年の所得が対象となります。
年収の目安と支給打ち切りの可能性
自治体によって基準は異なりますが、東京都23区や大阪市などの都市部では、母子家庭の医療費助成は以下のような所得制限が設けられている場合があります。
扶養親族数 | 所得制限の目安(年収換算) |
---|---|
0人 | 約1,920,000円(年収ベースで約270万円) |
1人 | 約2,300,000円(年収ベースで約300万円) |
2人 | 約2,680,000円(年収ベースで約350万円) |
したがって、前年に年収300万円があった場合、扶養人数や自治体の基準次第では助成の対象外となる可能性があります。
就職・収入の変化による影響はいつから?
助成打ち切りは通常、更新時期である6〜7月に決定通知が届き、新しい所得区分は毎年8月1日から適用されるケースが多いです。
つまり、5月中旬から就職していても、5月時点では前年の所得で判定されているため、制度上は変更が反映されていません。
ただし、自治体によっては新たな収入が確認された時点で助成の見直しが行われる場合もあり、通知内容を確認したうえで窓口に相談するのが安心です。
一時的に収入が上がった場合の対応
もし短期間だけ収入が増えて基準を超えてしまった場合でも、「収入が一時的であること」を証明する書類があれば、例外的に助成が継続されることもあります。
たとえば、離職してから次の就職までのブランクがあり、年収ベースで見れば基準を下回ることが明らかな場合などは、収入見込み証明や離職票を提出して相談することで対応してもらえることがあります。
まとめ|母子医療費助成は前年所得がカギ。迷ったら自治体へ相談を
母子医療費助成が受けられるかどうかは、現在の就職状況ではなく、基本的に前年の所得に基づいて判定されます。年収300万円前後であれば、扶養人数や自治体の基準によっては助成対象外になる可能性もあります。
とはいえ、制度の詳細や運用は地域差が大きいため、まずはお住まいの市区町村の福祉課に相談することが大切です。早めの確認が安心につながります。
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