事業を廃止した際には、労働保険の確定保険料申告を適切に行う必要があります。ところが、申告書の提出期限について「廃止日から50日以内」や「8月19日まで」などの説明が混在し、混乱する方も少なくありません。本記事では、提出期限の根拠や起算日の考え方、間違いやすいポイントについて実務ベースで解説します。
確定保険料申告書とは?提出義務が発生するタイミング
労働保険(雇用保険・労災保険)に加入している事業者は、年度末または事業の廃止時に確定保険料申告書を提出し、精算を行う義務があります。特に「事業の廃止時」は、廃止時点での概算保険料と納付済保険料を精算するため、速やかな手続きが必要となります。
この申告書の提出期限は、保険関係が消滅した日から50日以内と法律で定められています(労働保険徴収法第15条)。
「廃止日」と「保険関係消滅日」は違う?起算日はどこか
ここで注意すべきは、「事業の廃止日」ではなく、「保険関係消滅日」が起算点になることです。具体的には、事業の廃止日が6月30日であれば、保険関係消滅日はその翌日である7月1日です。
つまり、提出期限は7月1日から起算して50日目となる8月19日が原則的な提出期限となります。8月20日ではなく、あくまで8月19日が最終期限とされるのは、「当日起算で50日目を含む」という解釈によるものです。
提出期限の具体例と数え方
例:事業廃止日:2024年6月30日
・保険関係消滅日:2024年7月1日
・申告書提出期限:2024年8月19日(50日後)
注意:このカウントは「消滅日(7月1日)を1日目として数える」ため、締切は50日目にあたる8月19日です。8月20日と勘違いしがちですが、1日ズレると期限後提出となってしまいます。
土日・祝日が提出期限と重なる場合の扱い
提出期限が土曜・日曜・祝日にあたる場合は、翌営業日が提出期限となります(労働保険徴収法施行規則第15条)。
ただし、事前にe-Govや管轄の労働基準監督署などでカレンダーを確認することをおすすめします。
期限を過ぎるとどうなる?罰則や遅延リスク
提出期限を過ぎた場合、原則として延滞金や追徴金が発生する可能性があります。特に保険料の還付請求が含まれている場合は、支払い遅延の原因にもなりかねません。
また、翌年度以降の保険手続きや調査時にも影響することがあるため、事業の廃止が決まった段階で早めに準備を進めることが大切です。
まとめ:期限は「消滅日」起算で50日目、つまり8月19日
事業の廃止に伴う確定保険料申告書の提出期限は、保険関係消滅日(=廃止日の翌日)から50日以内です。計算上はその50日目が最終期限日となるため、6月30日廃止なら8月19日が提出期限です。
「消滅日が翌日」であることや「50日目を含む」カウント方法を間違えると、1日でも提出が遅れてしまう可能性があるため、申請の際にはカレンダーで正確に期限を確認しましょう。
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