家族の体調やライフイベントによって、健康保険の扶養のあり方に悩むケースは少なくありません。特に高齢の親族を扶養に入れるかどうかは、経済面だけでなく家庭内のバランスにも影響を与える問題です。今回は、義父を扶養に入れる際の制度の仕組みと、扶養者側のメリット・デメリットについて解説します。
健康保険の扶養に入れる条件とは
健康保険で親族を「被扶養者」として登録するには、一定の要件を満たす必要があります。主に次のような条件があります。
- 被扶養者の年収が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)
- 同居している、または仕送りなどで生計を維持している
- 扶養者の収入の2分の1未満であること
義父が倒れたことで収入がない場合、これらの条件を満たせば、あなたのご主人の健康保険の被扶養者として登録することは可能です。
扶養に入れるメリット:保険料の節約
扶養に入れれば、被扶養者本人(この場合は義父)の健康保険料が不要になります。たとえば、任意継続や国民健康保険では毎月1〜3万円の保険料がかかることもありますが、扶養に入ればその負担がゼロになります。
つまり、家計全体で見れば医療保障は維持しつつ、支出を減らせるという意味で大きなメリットがあります。
扶養に入れるデメリット:家族側の負担やリスク
一方、扶養する側、つまりあなたのご主人には見えにくい負担が発生する可能性もあります。以下の点に注意が必要です。
- 収入審査で扶養家族数が影響:住宅ローンなどの審査時、扶養者数が多いと可処分所得が減ると判断される場合があります。
- 税金や手当の影響:配偶者控除・扶養控除の対象にはならないケースが多く、扶養人数が増えても必ずしも税制面で有利になるわけではありません。
- 精神的・経済的な圧迫感:家計や介護などへの無言のプレッシャーが増すこともあるでしょう。
他の選択肢も考慮すべき
義母がパートの労働時間を増やし、義父を自分の扶養に入れるのも一つの方法です。週20時間以上勤務かつ年収106万円以上で、企業規模などの条件を満たせば、社会保険加入が可能です。
あるいは、所得が非常に少ない世帯であれば、国民健康保険料が減免になるケースもあるため、市区町村の窓口で相談してみるとよいでしょう。
義理の親を扶養に入れることの家族内コミュニケーション
経済的な合理性だけでなく、「誰がどこまで家族を支えるか」という信頼と責任の問題も無視できません。妊活など将来の出費が見込まれる状況であれば、負担が集中しすぎないよう、義母ともよく話し合いをしておくことが必要です。
無理なく支え合う関係性を作るには、制度の理解と同時に、家族内での役割分担の納得が欠かせません。
まとめ:扶養に入れる前に制度と感情のバランスを見極めよう
義父を扶養に入れることで保険料が浮くという家計的なメリットはあるものの、そのぶん扶養者側の精神的・経済的負担が増す可能性もあります。家計全体のバランスと、家庭内の納得感の両立が大切です。
最終的な判断は、「制度的にできるか」だけでなく、「家庭としてどうすべきか」を基に慎重に考えていきましょう。
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