副業や掛け持ち勤務が一般化する中で、「社会保険に加入しなければならないのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。特に、複数の勤務先で週20時間未満に抑えて働いている場合、社会保険の加入義務について誤解されることも。この記事では、社会保険の加入要件や掛け持ち勤務時の注意点について、わかりやすく解説します。
社会保険の加入条件の基本
社会保険(厚生年金・健康保険)は、通常以下の条件を満たした労働者が加入対象となります。
- 所定労働時間が週20時間以上
- 月額賃金が8.8万円以上(2024年現在)
- 勤務期間が継続見込み2ヶ月以上
- 学生でないこと(夜間・通信・定時制を除く)
- 従業員数101人以上の企業(2024年10月から51人以上)
この条件は、1つの勤務先に対して適用される点がポイントです。
掛け持ち勤務時の社会保険加入の考え方
複数のアルバイト先を掛け持ちしている場合、それぞれの雇用契約を独立して判断します。つまり、2つの勤務先それぞれで「週20時間以上」などの条件を満たしていない限り、原則として社会保険の加入義務は発生しません。
たとえばA社で週12時間、B社で週15時間働いていたとしても、それぞれ20時間未満であれば社会保険の加入義務はありません。
例外:ダブルワークでも加入義務が生じるケース
しかし、以下のような例外的な状況では、社会保険加入の対象となることがあります。
- 両社がグループ会社や同一の法人に属している場合
- 両社での勤務が「一体」として扱われる場合(例:出向契約や同一管理者による指示)
- 労働実態上、実質的にフルタイムと同等と判断される場合
また、税務署や年金機構が調査した結果、実態に基づいて加入が必要と判断されるケースもあるため注意が必要です。
報酬の合算による影響は?
勤務先ごとの労働時間で社会保険加入の有無が決まるため、月収10万円を超えても加入義務がないケースは十分にあり得ます。しかし、年収が一定以上になると所得税や住民税、国民健康保険料への影響は避けられません。
社会保険加入の有無は月収の金額ではなく、あくまで「週あたりの勤務時間」と「事業所の規模」などによって決まる点を覚えておきましょう。
会社が誤って加入手続きを行った場合
まれに、週20時間未満でも会社が誤って社会保険の加入手続きを進めてしまうケースがあります。その場合、加入取り消しが可能かどうかは事後対応の難易度や勤務実態により異なります。疑問があれば、日本年金機構や社会保険労務士に相談しましょう。
まとめ:掛け持ち勤務と社会保険は「個別判断」が原則
掛け持ち勤務であっても、それぞれの勤務先が週20時間未満かつ条件を満たしていなければ、社会保険への加入義務は発生しません。ただし、勤務実態や雇用契約により例外が生じる可能性もあるため、契約内容をしっかり確認し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
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