会社を病気やケガで休んだ際、給与の代わりに支給される「傷病手当金」。しかし、有給休暇と重なった場合や、会社側の判断で有給が消化されていた場合など、条件が複雑になることも。この記事では、傷病手当金と有給休暇の関係、そして支給条件の解釈についてわかりやすく解説します。
傷病手当金の基本的な支給条件
まず、傷病手当金は以下の4つの条件をすべて満たすことで支給されます。
- 業務外の病気やケガで療養中であること
- 就労不能であること(医師の証明あり)
- 連続する3日間の待機期間を含み、4日以上仕事を休んでいること
- 休業中に給与の支払いがないこと
この「3日間の待機期間」は有給や欠勤を問わずカウントされますが、給与が支給されている間は傷病手当金は支給されません。
有給休暇と重なった場合の扱い
もし休業初日から3日間が「有給休暇」として処理され、給与が支給された場合、その間は傷病手当金の支給対象にはなりません。つまり、4日目以降に無給の状態が続いていれば、その日から傷病手当金が支給されます。
一方で、有給を使用していない(もしくは本人の意図と異なる処理がされている)場合は、給与明細で該当日が「有給」と記載されているか確認する必要があります。
会社が無断で有給を消化した場合の対応
本人が申請していないにも関わらず、会社が勝手に有給を当てていた場合、原則として有効ではないとされます。有給休暇は本人の申請によって取得されるものだからです。
この場合、会社に対して「有給の取得意志がなかった」旨を申し出て、給与支給の取り消しと傷病手当金の対象への変更を依頼することが可能です。特に医師が1日から30日まで就労不能と証明している場合、待機期間経過後の給与未支給日については傷病手当金の支給を受けられる可能性があります。
傷病手当金の申請方法とポイント
申請の際は、会社から「事業主の証明欄」に実際の給与支払いの有無を記載してもらう必要があります。ここで有給処理がされていた場合は、その該当日を明示し、傷病手当金は有給対象日を除いた期間のみ支給対象となります。
ただし、事実確認が曖昧な場合や不明確な給与処理がある場合は、会社の人事労務担当者や健康保険組合に相談しましょう。場合によっては訂正が受理され、支給されることもあります。
事例:会社が申請なく有給処理していたケース
ある20代女性のケースでは、入院のため20日間休職したものの、最初の3日間が勝手に有給扱いになっていたため傷病手当金が17日分しか支給されませんでした。しかし本人が申請していないことを申し出て、労務部門と話し合いの末、最終的に3日分も無給扱いに修正され、合計20日分が支給されたとのことです。
まとめ:有給と傷病手当金の関係は「給与支給の有無」がカギ
傷病手当金の支給判断で最も重要なのは「給与が支払われたかどうか」です。有給扱いで給与が出ていれば、その日数分は支給対象外となります。しかし、有給を本人が申請していない場合や誤処理の疑いがある場合は、事実関係を確認した上で会社へ修正を申し出ることが大切です。
疑問点があれば、加入している健康保険組合や社会保険労務士への相談もおすすめします。制度を正しく理解して、損のない手続きを行いましょう。
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