企業型年金を退職後にどうする?iDeCo移換と脱退一時金の選択肢を徹底解説

年金

転職や退職後に、企業型確定拠出年金(企業型DC)の取り扱いに悩む方が増えています。特に「iDeCo(個人型確定拠出年金)へ移換すべきか」「脱退一時金を受け取るべきか」といった判断は、老後資金や税金への影響を大きく左右します。この記事では、脱退一時金とiDeCo移換の違い、それぞれのメリット・デメリット、そしてどのような基準で選ぶべきかを丁寧に解説します。

企業型年金のままでは運用を続けられない

企業型DCに加入していた方が退職すると、原則としてその年金資産は60日以内に「iDeCoへ移換する」か「脱退一時金を受け取る」かの判断が必要です。そのまま放置すると「自動移換」となり、元本が増えず手数料が差し引かれるだけの状態になります。

このため、退職後にはなるべく早く手続きを進めることが大切です。

脱退一時金とは?受け取り条件と注意点

脱退一時金とは、退職後に確定拠出年金の資産を一括で受け取れる制度です。ただし、受け取るには次の条件を満たす必要があります。

  • 企業型年金加入期間が3年以下、または資産額が15万円以下
  • iDeCo・企業型DCの加入資格を喪失している
  • 60日以内に申請する

さらに、脱退一時金は「雑所得」として課税対象になるため、税金面では不利になることがあります。また、一時金を受け取ると将来の老後資金としての運用機会も失われます。

iDeCoへ移換するメリットとは?

iDeCo(個人型確定拠出年金)に資産を移すと、運用を継続しつつ、将来的な老後資金として積み立てていくことができます。

  • 60歳まで非課税で運用が可能
  • 再就職先で企業型DCに加入できなくても、自分で積立を継続できる
  • 将来の受け取り時も、一定の控除が適用されるため税制優遇あり

また、口座維持費が毎月数百円程度発生しますが、脱退一時金と比べるとトータルで得をするケースが多いです。

iDeCoは本当に不利?誤解されがちなポイント

「iDeCoはデメリットが多い」との声もありますが、これは主に「60歳まで引き出せない」「口座維持手数料がある」といった点からくるものです。しかし、それらを理解したうえで計画的に運用すれば、節税効果と資産形成の両面で大きなメリットがある制度です。

たとえば、月額1万円の掛金を20年積み立て、年3%の利回りで運用した場合、約330万円の資産に成長します(掛金総額は240万円)。

どちらを選ぶべきか?判断のポイント

どちらの選択肢が適しているかは、以下の要素を元に判断できます。

  • 今すぐ資金が必要か:生活費に困っているなど、現金化の必要がある場合は脱退一時金が現実的です。
  • 今後の就職予定:再び企業型DCに加入する可能性があるなら、それまでiDeCoでつなぐのが得策。
  • 老後資金を育てたいか:長期での資産形成を考えるなら、非課税運用できるiDeCoが有利です。

基本的には、iDeCoへ移換した方が税制・資産形成の両面で有利なケースが多いと言えます。

まとめ:短期的な現金化よりも将来の資産形成を優先

企業型年金からの資産移行に悩んだ場合、安易に脱退一時金を選ぶのではなく、iDeCoへの移換を前向きに検討することをおすすめします。将来のための資産形成と節税効果を活かすことで、老後の安心につながります。

状況によっては例外もあるため、日本年金機構iDeCo公式サイトを参考にしたり、ファイナンシャルプランナーに相談するのも有効です。

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