生命保険の支払いが困難な状況で、担当者が「会社に内緒で私が立て替える」と言った場合、これは業務違反に該当します。この記事では、立替払いが保険募集人の禁止行為にどう当てはまるかを制度や事例を交えて解説します。
保険業法では“特別利益の提供”に該当
保険業法第300条第1項第5号では、保険募集人が契約者に対し「保険料の割引、割戻しその他特別の利益の提供を約し、又は提供する行為」が禁止されています。
営業担当者が「私が立て替える」と約束することはまさに該当し、業務違反となる可能性があります。
自動振替貸付制度との違い
なお、各大手生命保険会社には「自動振替貸付制度」があり、自動で解約返戻金の範囲内で自社が立替える仕組みが制度として存在します。
しかし、担当者個人が“会社に内緒で”立て替える行為は、これとは全く違い、明確に禁止される行為といえます。
実際の行政処分・判例の傾向
過去に他社では、社員が保険料を立て替えて違法販売と認定され、大量の行政処分が行われたケースもあります。
例えば2006年、損保ジャパンでは431件の立替払いが問題となり、保険業法違反として処分された事例があります。
期限や利息、書面の必要性
自動振替制度では利用の際、“利率”や“返済期限”が定められています。
個人立替においても、いつ返済するのか、利息はどうするのか、書面で明確に示されていない場合、さらに法令違反のリスクが高まります。
まとめ
・担当者が個人での立替を提案するのは、保険業法上「特別利益の提供」に該当し違反の可能性が高い。
・制度としての〈自動振替貸付〉とは異なり、違法性が強いため、十分注意が必要です。
・不安な場合は、会社や保険募集人の監督官庁(例:財務局、生命保険協会)に相談するのが望ましいです。
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