中国本土で普及しているWeChat Pay(微信支付)は、観光客を含む外国人にも門戸が開かれていますが、決済方法や本人確認の要件によっては一部制限があることがあります。この記事では、日本人ユーザーがWeChat Payを使って店舗のスキャナーでQRコードを読み取ってもらう決済方法がうまくいかない原因と、対処法について詳しく解説します。
外国人のWeChat Pay利用の概要と制限
WeChat Payは2023年以降、外国人観光客にもクレジットカードを登録するだけで一部決済が可能になるように仕様を拡大しています。ただし、これは「店舗のQRコードを読み取って支払う」方法に限られるケースが多く、「自分のQRコードを提示して店舗側が読み取る」支払い(被スキャン型)には制限がかかることがあります。
これは中国本土の法律に基づくセキュリティと本人確認義務の強化によるもので、特に「中国居民身分証を持たない外国人」にはウォレットにチャージされた残高による支払い、またはQRコード提示型の支払いが制限されています。
「依据総関法律法規…」というエラーメッセージの意味
このメッセージは要約すると「中国本土の法律に基づき、国内の財布機能を用いた被スキャン型支払いは、中国居民身分証がないと利用できません」というものです。つまり、パスポートのみで登録している外国人は、QRコード提示による支払いには対応していないことになります。
この仕様は、中国政府がマネーロンダリング対策などで金融トランザクションを厳密に管理しているためです。今後のアップデートで状況が変わる可能性もありますが、現時点では仕様上の制限と受け止める必要があります。
支払いが可能な方法:QRコード読取型を活用
現在でも外国人がWeChat Payを利用する方法はあります。最も確実なのは「自分で店舗のQRコードをスキャンし、金額を手入力して支払う」方法です。これはクレジットカードからの決済であれば可能で、登録済のVISA・Mastercard・JCBなどに対応しています。
実際に多くの外国人旅行者がこの方法でスターバックスやコンビニ、レストランなどで決済できているとの報告があります。
本人確認(KYC)情報の不足が制限の原因か?
今回の事例で指摘されているように、QRコード提示型支払いにはより厳格な本人確認が求められる場合があります。パスポート番号や顔認証などを登録していない場合、アカウントが制限されることがあります。
WeChatアプリの「Me(自分)」→「WeChat Pay」→「Wallet(ウォレット)」→「Identity Verification(本人確認)」で情報を追加できる場合もあります。ただし、海外版WeChatではこの項目が表示されないこともあり、その場合は中国版アプリまたは中国電話番号が必要になるケースもあります。
チャージ・送金による回避は現状困難
知人からの送金やポケットチャージ機を使った現金チャージも、外国人アカウントでは制限されることがあり、送金そのものがブロックされる場合があります。これは受け取り側の本人確認状況やウォレットの利用範囲によるものです。
もし、どうしてもWeChat残高での支払いを希望する場合は、WeChat Pay公式サイトにて、外国人向けのTour Card(仮想カード)発行を検討するのも一つの手段です。
まとめ:QR提示決済は制限対象、店頭ではスキャン型決済を
日本人が中国または中国系サービスでWeChat Payを利用する際は、以下の点を理解しておくと安心です。
- 自分のQRコード提示による決済は、中国居民身分証がないと利用不可。
- 「店舗のQRコードを読み取り、自分で金額を入力して支払う」方法が有効。
- 本人確認の情報を追加登録しても、仕様上の制限が残る可能性がある。
- Tour Cardの利用も検討の余地あり。
トラブルを避けるためにも、店舗での支払い前に「自分でスキャンしていいですか?」と確認を取り、カード支払いが通るかを確かめるのがベストです。
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