夫の定年退職後、妻が社会保険の加入者となることで、大学生の子どもを被扶養者に入れたいというケースは多く見られます。今回はそのような状況で、社会保険と税制上の扶養がどう関わってくるか、年末調整における扶養との違いについてもわかりやすく解説します。
社会保険の被扶養者の要件とは?
社会保険における「被扶養者」は、主に健康保険制度において保障を受けられる家族を指します。妻が健康保険の被保険者となっている場合、以下の条件を満たせば、大学生の子どもを被扶養者として追加することができます。
- 年収が130万円未満(60歳未満または障害者でない場合)
- 被保険者(妻)に生計を維持されている
- 別居している場合でも、仕送りなどで生活の援助を受けている証明ができる
大学生でアルバイト収入が少なく、生活費を親が負担しているなら、通常は被扶養者に入ることが可能です。
夫が定年退職した場合の影響と対応
夫が会社を退職し、厚生年金や健康保険から外れた場合、多くの家庭では妻が正社員などで勤務を継続し、社会保険の被保険者になります。このとき、子どもを妻の社会保険の扶養に移す手続きを行います。
具体的には、勤務先の総務・人事部に「被扶養者異動届」を提出することになります。必要書類として、住民票・所得証明書・仕送り証明(場合により)などが求められることがあります。
年末調整での「扶養」との違い
社会保険の「扶養」と、年末調整での「扶養控除」は制度が異なります。
- 社会保険の扶養:保険料の負担免除と保障対象
- 税制上の扶養控除:所得税や住民税の軽減措置
税制上の扶養は、年末調整で適用されるもので、大学生の子どもであれば、「特定扶養親族(19〜22歳)」として63万円の控除が受けられます。つまり、社会保険の被扶養者と税の扶養控除は別個に考える必要があります。
世帯主が夫でも扶養にできる?
世帯主が夫であること自体は、妻の健康保険に子どもを扶養に入れることを妨げる要因にはなりません。社会保険の制度においては、「実際に生計を維持している人」が被保険者であればよいのです。
そのため、夫が年金生活に入り、生活費の中心を妻の収入でまかなっているならば、妻の扶養に入るという選択に合理性があります。
提出すべき書類と注意点
妻の勤務先に被扶養者の申請をする際は、次のような書類が求められることがあります。
- 被扶養者異動届
- 世帯全員の住民票
- 課税(非課税)証明書
- 学生証や在学証明書
- 仕送り証明(別居の場合)
書類の不備があると申請が遅れるため、勤務先の担当者に事前確認をしておくのがベストです。
まとめ:収入状況と生活実態で判断される
大学生の子どもを妻の社会保険に被扶養者として加入させるには、年収130万円未満で生活を妻が支えているという条件を満たすことが基本です。世帯主が夫であっても問題はなく、必要な書類を準備して手続きを進めましょう。
また、社会保険の扶養と年末調整の扶養控除は制度が異なるため、どちらも適用されるようにそれぞれの窓口で対応することが重要です。
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