相続という言葉には、誰にとっても少なからず関心があるものです。特に親の遺産としてまとまった金額を受け取れるかどうかは、多くの人が気になるテーマです。この記事では、親からの遺産として1000万円以上を受け取っている人がどのくらいいるのか、最新の統計や実情に基づいて解説します。
親の遺産を1000万円以上受け取っている人の割合
国税庁や総務省などの統計データをもとにすると、相続発生時に1000万円以上の遺産を受け取っている人は、相続全体の3割程度と見られています。特に都市部では不動産を含む相続財産の評価額が高くなる傾向があり、1000万円以上に達しやすい一方、地方や資産が少ない世帯では数百万円にとどまるケースも少なくありません。
たとえば、2023年度の国税庁「相続税の申告状況」によると、相続税の申告が必要な相続財産の平均額は約1億円超でしたが、これは全体の8.7%程度に過ぎず、多くの人は申告不要な範囲の遺産しか受け取っていません。
相続財産の内訳:現金だけではない
「1000万円以上」と聞くと現金をイメージしがちですが、実際の相続財産には不動産(自宅など)や有価証券、預貯金などさまざまな資産が含まれます。たとえば実家の土地建物の評価額だけで1000万円を超えることも多くありますが、それがすぐに現金化できるわけではありません。
また、兄弟姉妹がいる場合は分割されるため、1人当たりの取り分は必ずしも1000万円には届かないケースも多いです。
相続に関する意識と準備の実態
意外と知られていないのが、日本では相続に関する準備をしている家庭が少ないという点です。内閣府の調査によれば、遺言書を用意している人は全体の1割にも満たないと言われています。結果として相続時にトラブルや不公平感が生じることも少なくありません。
そのため、親世代とのコミュニケーションや財産状況の共有は、将来の円満な相続のために重要です。
相続税と非課税枠の基礎知識
相続で受け取った金額が大きくなるほど、相続税の問題も避けて通れません。現在、日本の相続税には基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)があり、この範囲内であれば相続税はかかりません。
たとえば相続人が子ども2人の場合、基礎控除額は4200万円となります。この範囲内であれば相続税の申告すら不要となるため、多くの世帯は税負担なしで遺産を受け取っています。
実際の相続事例と格差
ある40代男性は、親から都内にあるマンションと預貯金合わせて約6000万円相当を相続しましたが、兄妹で分けると1人あたり3000万円に。相続税が発生し、納税のために物件を売却せざるを得なかったと言います。
一方、地方在住の60代女性は、親の遺産が預貯金数百万円と古い家屋だけで、特に相続税の心配もなく手続きも簡易だったとのこと。相続の実態には大きな地域格差・資産格差が存在しています。
まとめ:1000万円以上の相続は一部、過半数ではない
「親から1000万円以上の遺産を受け取れるか」という問いに対して、答えは「全体の一部にとどまる」と言えるでしょう。特に現金ベースで1000万円を超える相続は限られた家庭のみです。将来の相続に備えるためにも、財産の可視化と家族間の話し合いを進めておくことが大切です。
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