家計や家庭事情によって複雑な問題が絡みやすいのが「学資保険」と「生活保護」の関係です。特に家族間で契約者・被保険者・受取人が異なる場合、「その保険は誰の財産か?」「生活保護申請に影響するのか?」という疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、学資保険に関する所有権や生活保護との関係について、制度的な観点から解説します。
学資保険とは?誰のための保険か
学資保険とは、子どもの教育費に備えるために親などが契約し、一定期間掛け金を積み立てる保険です。一般的に、契約者(保険料を支払う人)は親、被保険者は子ども、そして満期金の受取人も親であることが多く、法律上は契約者(=保険料を払っている人)の財産として扱われます。
つまり、学資保険は「子どものための目的で作られた保険」ではありますが、名義上・法的には母親(契約者)の資産となり、子どもには自動的に所有権があるわけではありません。
学資保険は生活保護申請に影響するのか?
結論から言えば、学資保険は原則として生活保護の資産調査対象になります。保護申請者(今回で言えば妹さん)自身が契約者または受取人であれば、「解約すれば現金化できる資産」として判断され、生活保護が認定されない可能性があります。
ただし、今回のように保険の契約者が母親であり、妹さん本人が保険の受取人・契約者でない場合、その保険は妹さんの財産とはみなされません。そのため、妹さんの生活保護申請においては、母親名義の学資保険が直接的な妨げになることはないと考えられます。
誰のために積み立てたお金か?感情と法律の違い
家族の中で「子どものために積み立てたお金だから、その子のもの」と考えるのは自然ですが、法的には契約者の資産として取り扱われます。保険料を支払っていたのが母親であるならば、その保険の解約返戻金や満期金も母親の財産です。
ただし、感情的な視点から見れば、子どもが中学入学時に一部使用したことや、その後も名目上は子どものために積み立てられてきたお金であることから、子の側にとって納得しにくい面があるのも事実です。
このような家庭内の金銭の帰属意識のズレは、学資保険に限らず、「成人式の費用」「進学資金」「仕送り」などでもよく見られる問題です。
将来のトラブルを避けるための対処法
財産の所在や名義についての認識がずれていると、親子間での信頼関係にも影響を与えることがあります。以下の点を意識するとよいでしょう。
- 保険証券の名義(契約者・被保険者・受取人)を確認する
- 母親が「老後資金」として使う意図があるなら明示しておく
- 将来的に相続や遺留分の問題になる可能性があるため、兄弟姉妹間で共有しておく
- 必要であれば、FP(ファイナンシャルプランナー)など第三者に相談する
また、生活保護の申請を進める際には、事前に福祉事務所のケースワーカーに保険契約の詳細を開示し、判断を仰ぐのが確実です。
まとめ:名義と現実のギャップに惑わされないために
学資保険は「誰のための保険か」ではなく、「誰が契約して、誰が受け取るのか」が法的には重要です。そのため、保険料を払っていた母親が契約者であれば、その資産は母のものであり、妹さんの生活保護申請には原則として影響しません。
家族内での経済的な不公平感や価値観のズレが気になる場合は、感情的になる前に事実確認と制度の理解を進めることが大切です。必要であれば、信頼できる第三者のアドバイスを受けながら、冷静に対応していきましょう。
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