後期高齢者医療制度の実態と令和7年度の保険料負担を読み解く

国民健康保険

高齢化が進む中、後期高齢者医療制度の保険料負担について関心が高まっています。2025年(令和7年度)の保険料は多くの人にとって身近な生活費に直結するだけに、その中身を正しく理解することが重要です。本記事では、具体的な試算例や制度の背景、よくある誤解についてわかりやすく解説します。

令和7年度の後期高齢者医療保険料はどのくらい?

後期高齢者医療保険制度では、75歳以上の方が対象で、所得に応じた保険料を負担します。保険料は「所得割」と「均等割」の合算です。

たとえば、年金月額20万円(年間240万円)で、基礎控除後の所得が87万円の場合、以下のように計算されます。

  • 所得割額:87万円 × 11.3% = 約98,310円
  • 均等割額:53,400円(地域により異なる)
  • 年間合計:約151,710円(月額約12,643円)

これはあくまでモデルケースであり、実際の保険料は自治体の設定や所得状況によって変動します。

自己負担2割でどこまでカバーされる?

2022年以降、一定の所得以上の高齢者については、医療費の窓口負担が1割から2割に引き上げられました。とはいえ、現役世代の3割に比べれば低い水準です。

たとえば、毎月3,000円の自己負担(医療費総額の2割)を支払う場合、医療費総額は月15,000円、年間で180,000円。保険料と合わせて、年間約33万円程度の支出となることになります。

保険料を払い損に感じるのは本当か?

「保険料の元が取れない」という声もよく聞かれます。確かに、病気にかからず医療をあまり利用しない人にとっては、支払った保険料が戻ってこないように思えるかもしれません。

しかし、保険制度は「相互扶助」の考えに基づいています。たとえば、長期入院や高額治療を受けた場合、数十万円から数百万円の医療費がかかることもあります。それらを低負担で受けられるのは、保険制度の恩恵です。

医療費を誰が使っているのか?

厚生労働省のデータによると、医療費の約6割を65歳以上の高齢者が使用しています。特に後期高齢者(75歳以上)の医療費が年々増加しているのが実情です。

がん、認知症、生活習慣病などの治療が長期化・高額化しており、医療技術の進歩も医療費の高騰に拍車をかけています。これは「フェイク」ではなく、実際の統計にもとづいた事実です。

介護保険料もあわせた負担感

後期高齢者になると、医療保険だけでなく介護保険料の負担も発生します。2024年度の全国平均は月額6,225円程度ですが、所得に応じて最大1万円以上のケースもあります。

医療+介護の保険料と自己負担を合算すると、年間で40万~50万円に達する世帯も珍しくありません。

まとめ:負担増の中でできる備えと理解

後期高齢者の医療保険料は、年金生活者にとって無視できない負担です。しかし、その負担が高いと感じる一方で、万が一の医療リスクに備える「保険」の本質を忘れてはいけません。

医療制度や保険料に不満を感じたときこそ、制度の仕組みや財源の使い道を理解することが大切です。今後、制度改革が進む可能性もありますが、正しい情報をもとに自分にできる対策をとっていきましょう。

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