体調不良や家庭の事情で退職を余儀なくされた後、次の仕事が決まるまでの間の「保険の選び方」や「金銭的支援制度」は、生活の安定に大きく関わってきます。特に、病気療養中の方にとっては、健康保険の継続や傷病手当金の受給が重要な支えになります。本記事では、療養と転職の狭間にいる方に向けて、選択すべき制度や手続きのポイントを丁寧に解説します。
退職後の保険選択肢は主に3つ
会社を退職したあと加入できる健康保険には主に以下の3つの選択肢があります。
- 1. 国民健康保険(国保)へ加入
- 2. 前職の健康保険を任意継続する(最長2年)
- 3. 家族(父親など)の扶養に入る
それぞれの保険にはメリットとデメリットがあり、収入や就業状況、通院の有無により適切な選択が変わります。
任意継続なら傷病手当金の継続が可能なケースも
退職前に健康保険の「被保険者期間が継続して1年以上あり」、かつ退職直前まで出勤していた場合、退職後も最長1年6ヶ月の間、傷病手当金を受け取ることができます(在職中に受給開始していなくても可)。
この場合は国保ではなく、退職前の健康保険を「任意継続」して加入しつつ、傷病手当金を請求する選択肢が最も現実的です。
家族の扶養に入るメリットと注意点
収入が少なく、なおかつ今後すぐに就労予定がない場合は、父の健康保険に扶養として入る選択も考えられます。扶養に入れば、保険料負担がゼロになるのが最大の利点です。
ただし、この場合は傷病手当金の受給はできません。また、年間収入130万円を超えると扶養から外れるため、転職予定がある人には一時的な手段として検討しましょう。
国保はシンプルだが傷病手当は対象外
国民健康保険は誰でも加入できる仕組みですが、傷病手当金の制度が存在しません。つまり、療養中の金銭的支援はなく、医療費も3割負担になります。
そのため、既に医師から「傷病手当の対象」と診断されている場合は、安易に国保へ切り替える前に、会社の健康保険の任意継続を検討しましょう。
就職先が決まっている場合は手続きのタイミングを調整
6月中に転職予定がある場合は、以下のような流れで対応するとスムーズです。
- 退職日翌日から14日以内に任意継続を申請
- 傷病手当金の申請書を前職の保険組合へ提出
- 新しい職場で保険加入後は、任意継続を終了
このようにすれば、短期的な収入減への補填を確保しつつ、転職後の制度にスムーズに切り替えることができます。
まとめ:制度を知ることで人生が守られる
✔ 病気で退職した場合でも、健康保険の任意継続+傷病手当金が支えになる
✔ 扶養に入る、国保に入るなどの選択肢は、自身の収入や就業予定に応じて検討
✔ 転職予定があるなら、制度間のつなぎ方を工夫して保険の空白期間を作らないことが重要
社会制度は難しく感じられますが、理解し活用することで「心と暮らし」を守ることができます。迷ったときは、地域の社会保険労務士や区市町村の保険課に相談してみるのもひとつの手です。
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