会社を退職したりフリーランスとして独立したりすると、それまで加入していた社会保険から国民健康保険(国保)への切り替えが必要になります。切り替え後は保険料の支払い方や年金の扱い、税金の納付タイミングなどが大きく変わります。また、副業のしやすさにも一定の影響があります。本記事では、社会保険から国保へ変わったときの違いをわかりやすく解説します。
社会保険と国民健康保険の違い
社会保険は会社員や公務員が加入する制度で、健康保険と厚生年金がセットになっています。保険料は会社と従業員で折半され、給与から天引きされる仕組みです。
一方で、国民健康保険は主に自営業者や無職の方が対象で、保険料は全額自己負担。支払いは自治体によって定められた方法で行われます。また、年金は別途「国民年金」に加入する必要があります。
国保に切り替えると保険料の負担が増える可能性も
社会保険のときは会社が保険料の半分を負担してくれていたため、実質的な負担は少なく感じていたかもしれません。国保では全額自己負担になるため、所得次第では保険料が大幅に増えることもあります。
たとえば、年収300万円の方が退職してフリーランスになると、健康保険料と国民年金保険料を合わせて年間約50万円以上になる場合もあります。自治体によっては減免制度もあるので、困ったときは相談しましょう。
住民税は年4回の分納制
社会保険から国保に切り替えると、税金の支払い方法にも変化があります。会社員時代は住民税が給与から天引きされていましたが、個人になると自分で納付します。
一般的に、住民税は6月・8月・10月・翌年1月の年4回に分けて支払う「普通徴収」という方式になります。支払いには納付書が届き、それを使って金融機関やコンビニ、または口座振替でも対応できます。
なお、銀行口座を役所に届け出なければならない義務はありませんが、口座振替を希望する場合は別途手続きが必要です。
国保は副業との相性が良い?
社会保険に加入している会社員の場合、副業収入が増えると住民税の増加により会社にバレることがあります。一方、国保加入者はすでに自営業者やフリーランスであるため、副業収入が本業に直結するケースが多く、比較的自由に副業がしやすいというメリットがあります。
また、事業所得として確定申告をすれば、必要経費を差し引けるため、課税所得を圧縮し保険料や税金を抑えることも可能です。とはいえ、申告義務や帳簿管理などはしっかり行う必要があります。
国保加入時に必要な手続き
社会保険を脱退した後、原則として14日以内に住民票のある市区町村で国保の加入手続きを行う必要があります。必要なものは以下の通りです。
- 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証)
- 退職証明書や離職票
- 印鑑
- マイナンバー通知カード
手続きを怠ると無保険状態になってしまい、医療費が全額自己負担になるおそれがあるため注意しましょう。
まとめ:国保に変わるとお金と手続きが自分の責任になる
社会保険から国民健康保険へ切り替えると、保険料の全額自己負担、住民税の自己納付、年金の個人契約など、多くの点で「自己管理」が必要になります。その分、副業の自由度や働き方の柔軟性が高まるメリットもあります。
国保切り替え後は、税金や保険料のスケジュールをしっかり把握して、計画的に資金管理を行うことが大切です。必要に応じて自治体の窓口や専門家にも相談しながら、自分に合った働き方と保障を整えていきましょう。
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