扶養の範囲内で収入をおさえながら働きたいと考える主婦にとって、年金や収入の壁の仕組みは複雑で難解です。特に、特別支給の厚生年金の受給が始まる時期や、税法上・社会保険上の扶養条件が変化する中で、どこに注意すべきかを理解しておくことはとても大切です。本記事では、65歳主婦の立場から「扶養内で働く」「年金を受け取る」ことに関する基本的な知識と注意点を解説します。
特別支給の厚生年金の収入は何年度の扱いになる?
特別支給の厚生年金は、支給開始年齢に達した月以降に支給される「年金収入」として所得扱いされます。たとえ過去の3年分がまとめて支払われた場合でも、実際に受け取った年度(支払確定した年)の収入に分類されます。
したがって、令和7年(2025年)に3年分を一括で受け取る場合、その全額は令和7年度の所得に含まれます。これは税法上・住民税・国民健康保険料等の計算にも影響するため注意が必要です。
「90万円の壁」と扶養の範囲
夫の扶養内でいたい場合、主に2つの壁が問題になります。1つ目は「税法上の扶養控除」に関わる『103万円の壁』。2つ目は「社会保険の被扶養者条件」に関わる『130万円の壁』です。
給与収入が90万円を超えると、課税対象になるかが心配になるかもしれませんが、年金収入との合算によって扶養控除の適用可否が変わる可能性もあります。なお、扶養から外れると、住民税・国民健康保険料が発生するため家計に影響が出ます。
103万円の壁は「123万円の壁」になったのか?
よく話題になる「103万の壁が123万になった」というのは、一定の条件下で所得控除が拡充されたことを指します。具体的には、「配偶者特別控除」の拡大により、年収123万円までは段階的に控除が適用されるようになりました。
ただし、この制度はあくまで「夫側の配偶者控除(=夫の税金)」の話であり、「本人が扶養から外れるかどうか」には直接関係しません。あくまでも扶養を維持したい場合は、年収103万円以下(給与のみの場合)を意識する必要があります。
年金収入は扶養にどう影響するか?
特別支給の厚生年金を含めた年金収入は、所得税・住民税の課税対象になります。ただし、年金には公的年金等控除があるため、65歳以上であれば年間年金収入158万円以下であれば、課税されません。
そのため、特別支給の厚生年金とパート収入の合計が一定基準を超えない限り、税金や社会保険の負担は発生しない場合もあります。扶養内を目指すなら、これらをトータルで計算する必要があります。
扶養の判断に迷ったらどうする?
扶養判定は会社や保険組合ごとに取り扱いが異なるケースがあります。例えば、社会保険上の被扶養者認定では「恒常的に年収130万円未満」であることが求められ、年金収入も加算対象になる場合があります。
不明点がある場合は、夫の勤務先の総務・人事部や加入している健康保険組合に問い合わせるのが確実です。最新制度や各種控除の扱いも変化するため、定期的な情報確認が重要です。
まとめ:扶養と年金・収入のバランスを丁寧に考える
65歳以上の主婦が働きながら年金を受け取る場合、年金と給与の合算により扶養から外れるリスクが生じます。「90万円を超えたら危険」ではなく、何の扶養を維持したいのか、合計収入はいくらなのかを基準に検討しましょう。
将来的なライフプランや税金・社会保険の負担を考慮しつつ、扶養内に収めるか・外れても働き続けるかの選択を冷静に行うことが大切です。
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