就職活動や奨学金申請などで必要になることの多い所得証明書。発行は市区町村の役所で行われますが、「今住んでいない市でも発行してもらえるのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、住民票がない市区町村で所得証明書を取得できるかどうかを、制度と手続きを踏まえて解説します。
所得証明書はどこで発行されるのか
所得証明書(課税証明書とも呼ばれます)は、前年の所得や住民税の課税内容を証明する書類です。これは住民票を置いていた自治体で課税されるため、「その年の1月1日時点で住民票があった市区町村」でしか発行されません。
たとえば、1月1日時点で東京都世田谷区に住んでいて、4月に大阪市へ転居した場合、所得証明書は世田谷区役所で発行されます。
住民票がない市では取得できない理由
市区町村が所得証明書を発行するためには、住民情報と課税情報をもとにした計算が必要です。住民票がなければ、その自治体に課税情報が存在しないため、証明書の発行対象になりません。
つまり、住民票が置かれていない現在の市区町村に出向いても、「その市での課税履歴がなければ発行できない」と断られてしまうのが通常です。
過去に住民票があった自治体での取得方法
必要な場合は、1月1日に住民票があった自治体に所得証明書を請求します。方法は次のとおりです。
- 窓口請求:本人確認書類と手数料を持参して役所窓口で発行可能
- 郵送請求:申請書、本人確認書類のコピー、定額小為替、返信用封筒を郵送
- オンライン請求:マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、マイナポータルや自治体サイト経由で申請できる場合あり
郵送やオンラインでの手続きに対応しているかどうかは、各自治体の公式ホームページを確認してください。
例外的な取得方法はある?
基本的には住民票のない市区町村では発行できませんが、マイナポータルやコンビニ交付サービスを利用して、自分の過去の課税証明書を取得できる場合もあります。
例えば、マイナンバーカードと対応のスマートフォン、もしくは対応カードリーダーがあれば、マイナポータルから過去の証明書を取得できるケースもあります。
実例:転居した学生の証明書取得ケース
大学進学に伴い、4月に住民票を移した学生が奨学金申請に必要な課税証明書を求められた場合、1月1日に住民票を置いていた地元の市役所へ申請する必要があります。新天地の役所では対応不可のため、郵送手続きで実家の市役所に申請し、1週間ほどで取得できたという事例があります。
まとめ
住民票を置いていない市区町村では、所得証明書は原則取得できません。証明書を発行できるのは、「1月1日時点で住民票があった自治体」に限られます。転居した場合でも、郵送やオンラインで対応してもらえるため、必要書類や手続きを早めに確認しておくと安心です。
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