傷病手当金は、病気やけがで働けなくなった際に生活を支える大切な制度です。しかし、受給中に副業や自営業で収入を得てしまった場合、それが後に大きな問題へと発展する可能性があります。本記事では、傷病手当金の受給中に個人事業として収入を得た場合に考えられるリスクや対処法をわかりやすく解説します。
傷病手当金の基本的なルール
傷病手当金は、健康保険に加入している人が業務外の病気やけがで働けなくなったときに、給与の一部を補填する制度です。給付の条件には、次のような項目があります。
- 業務に就けない状態であること
- 給与の支払いがない、または減少していること
- 連続した3日間の待機期間を含め、4日以上の仕事の休業があること
つまり、就労可能な状態であったり、実際に収入を得ていた場合、支給対象外とみなされる可能性があります。
副業や個人事業による収入はバレる?
副業や軽貨物などで収入があると、「本当に就労できない状態だったのか?」という点が問われます。このような収入は以下の手段で発覚する可能性があります。
- 確定申告の内容:税務署を通じて自治体や保険者と情報共有されます
- マイナンバーによる情報連携:個人の所得情報が一元管理されており、各機関間で確認可能です
- 社会保険の調査:定期的な監査や不正受給通報の対応で調査されることがあります
たとえば、年間150万円の売上や所得があったとすれば、その金額は確定申告により表面化し、保険者の目にも届く可能性が高いです。
不正受給と判断された場合のペナルティ
傷病手当金の受給中に収入があると、それが“労務不能状態”でない証拠とされ、不正受給に該当する場合があります。不正と判断されると。
- 受給額の全額返還
- 加算金(延滞金や罰金)の請求
- 最悪の場合、刑事告発されるリスクも
過去には、軽微な副収入でも報告漏れや虚偽申告で返還を命じられた事例もあります。
傷病手当中でもできる収入の範囲とは?
すべての収入が即NGというわけではありません。重要なのは「労務不能かどうか」です。たとえば。
- 病気療養中でも、短時間の軽微な作業で医師の許可がある
- 療養の妨げにならない範囲で、片手間の作業をする
このような場合でも、必ず事前に健康保険組合などに相談し、申告しておくことがトラブル回避につながります。
今からできる対処法と誠実な対応
すでに収入があり、後から制度違反に気づいた場合には、速やかに以下の対応を検討しましょう。
- 自分の加入する健康保険組合へ事実を報告
- 収入の詳細を整理し、いつ・どのように働いたかを明確にする
- 返還請求や指導に応じる姿勢を持つ
誠実に対応することで、悪質性が低いと判断される可能性もあります。後になって発覚し、悪意があったとみなされるほうが大きな問題につながります。
まとめ:傷病手当受給中の就労は慎重に
傷病手当金は、働けない人のための制度です。そのため、受給中に仕事をして収入を得ると「就労可能」と判断されるリスクがあります。特に個人事業のように明確な勤務記録がなくても、確定申告の収入記載から発覚する可能性は十分あります。
心当たりがある場合は、早めに健康保険組合へ連絡を取り、状況を説明しましょう。制度を正しく理解し、誠実に対応することが、将来的なトラブルを防ぐ最善の方法です。
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