社労士試験で混乱しやすい「埋葬料」と「葬祭費」―令和6年社一問10の落とし穴を解説

社会保険

社労士試験の一般常識(社一)では、知識だけでなく制度間の違いを正確に把握しておく必要があります。特に医療制度関連の問題は用語の違いに惑わされやすく、今回の令和6年問10肢Eもその典型例といえるでしょう。

「埋葬料」ではなく「葬祭費」―用語の違いがカギ

健康保険では被保険者が亡くなった際に支給される給付は「埋葬料(あるいは家族埋葬料)」という名称です。しかし、後期高齢者医療制度では「葬祭費の支給」または「葬祭の給付」とされており、これは法文上明確に異なる表現が採られています。

これは単なる言葉の違いではなく、制度的な根拠と運用の違いが背景にあります。したがって、「埋葬料として5万円を支給する」という記述は、後期高齢者医療制度に関しては誤りとなるのです。

健保との共通点と違い―「5万円」の金額に惑わされない

この問題で受験生を惑わせた要因のひとつが「5万円」という金額です。健康保険の埋葬料と後期高齢者医療制度の葬祭費はどちらも標準的に5万円前後であるため、「表現が違うだけで意味は同じ」と思い込んでしまいがちです。

しかし、社労士試験では用語の正確な使い分けが求められます。たとえ実質的な支給内容が類似していても、法的名称や根拠法令が異なれば肢の正誤判断は変わってきます。

高齢者医療確保法の条文を押さえる

後期高齢者医療制度は、高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)に基づいています。同法第61条において、葬祭費の支給についての規定があり、「葬祭費の支給又は葬祭の給付を行うことができる」と定められています。

この条文をもとに、各広域連合が条例で給付の内容や金額を定めており、全国的に5万円が多いですが、それでも「葬祭費」という言葉を使うことが決まりとなっています。

混同しやすい類似用語に要注意

社労士試験では、以下のような混同しやすい用語がよく出題されます。

  • 埋葬料(健康保険)
  • 葬祭費(後期高齢者医療・国民健康保険)
  • 葬祭の給付(後期高齢者医療)

これらの区別が不十分なまま試験に臨むと、「本質的に同じ内容だから正しい」と早合点してしまい、今回のようなミスを誘発します。

実際の出題例で練習しておこう

実践的な対策として、「出題された用語がどの制度に紐づいているか」を意識する習慣をつけましょう。特に「高齢者医療制度」「国保」「健保」の給付に関する問題は、似た内容でも用語・法律が異なるため注意が必要です。

例えば、次のようなミニクイズで鍛えることができます。

用語 該当制度
埋葬料 健康保険
葬祭費 後期高齢者医療、国保
葬祭の給付 後期高齢者医療

まとめ:用語の正確さが正答の鍵

令和6年社労士試験の一般常識・問10肢Eは、「埋葬料」か「葬祭費」かという言葉の違いがポイントでした。内容が似ていても、試験では法令上の表現に忠実であることが求められます。

本質的な意味よりも、条文ベースの知識で判断する訓練を積み、見慣れた用語に引っ張られず、冷静に選択肢を読み解いていきましょう。

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