「60歳から年金を受け取り始めたが、月6万円では不安」「70歳で施設に入るには月20万円かかると聞いて困惑している」——これは多くの人が抱える老後のリアルな悩みです。本記事では、老後資金が十分でない方が今からできる対策や生活設計について具体的に解説します。
60歳から年金を受け取ると支給額が減る理由
公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は、原則65歳からの受給が基本ですが、60歳から前倒しで受け取る「繰上げ受給」も選べます。ただし、繰上げる月数に応じて最大30%程度減額され、その減額は一生続きます。
例えば、65歳から受け取れば74,000円だった人が60歳で受け取ると、6万円前後になることがあります。これは制度上のルールであり、年金事務所の職員の計算通りになります。
老後の生活費、月20万円は本当に必要か
老後に必要な生活費として「月20万円」という数字がよく言われますが、これは総務省の家計調査の平均値をもとにした目安です。実際には、生活地域や持ち家か賃貸か、医療費の有無などによって大きく変動します。
例えば、地方で持ち家がある場合は、月12〜15万円程度でも十分生活できるケースがあります。逆に都市部で賃貸の場合は、家賃だけで7〜10万円以上かかることもあります。
施設入居に備えるために知っておくべきこと
高齢者施設にはさまざまな種類があります。代表的なものは以下の通りです。
- 特別養護老人ホーム(特養):月8万〜15万円程度、公的支援あり
- 介護付き有料老人ホーム:月20万〜30万円、民間運営
- サービス付き高齢者向け住宅:月15万〜25万円、自由度が高い
費用面で不安がある方は、公的施設(特養)や地域包括支援センターでの相談を活用するのが現実的な対策です。
老後資金が少ない場合に考えるべき5つの選択肢
- ①生活保護の活用:資産・収入条件を満たせば受給可能
- ②就労継続(シルバー人材センターなど):65歳以上でも働ける場がある
- ③住居支援制度の活用:家賃補助や住宅確保給付金の対象になることも
- ④地域包括支援センターに相談:介護や生活費に関する無料相談が可能
- ⑤生活スタイルの見直し:固定費(通信費・光熱費など)の削減で月数万円の節約も
これらは誰でも利用できる支援制度や実践可能な方法で、特別な資格や準備が不要なものばかりです。
実例:60歳から年金生活を始めたAさんのケース
60歳で年金月6.2万円を受給し始めたAさん(都内在住)は、もともと月12万円の生活費が必要でした。そこで、地元のシルバー人材センターに登録し、週2回のパート勤務で月5万円を補填。さらに、スマホを格安SIMに変更し、家計の固定費を1.5万円削減することで乗り切っています。
「なんとかなるものですね」と語るAさんは、70歳以降の施設入居に備え、月1万円ずつ貯蓄も始めています。
まとめ:老後の不安は「情報」と「工夫」で乗り越えられる
年金だけでは暮らせない、老後の施設費用が心配——そんな悩みは誰にでもあります。しかし、支援制度の活用、生活スタイルの見直し、少しの就労など、小さな行動の積み重ねで乗り越えられる現実があります。
今からでもできることはたくさんあります。まずは自治体や年金事務所、地域包括支援センターへの相談から始めてみましょう。
コメント