個人事業主の飲食店で消費税がかかるタイミングとインボイス制度の影響をわかりやすく解説

税金

飲食店を個人で開業した場合、売上規模によって将来的に「消費税の納税義務」が発生します。また、令和5年(2023年)から始まったインボイス制度に関しても、登録するかどうかによって経理や取引先への影響が異なります。本記事では、開業間もない個人飲食店の方が迷いやすい消費税の納税タイミングやインボイス制度のポイントを、具体例を交えて丁寧に解説します。

売上1,000万円を超えると、2年後から消費税が発生

消費税の納税義務は、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えたかどうかで判断されます。基準期間とは、その年の2年前(個人事業主なら「前年の前々年」)のことを指します。

例:2024年の売上が1,400万円だった場合、基準期間として見られるのは2024年→基準期間=2022年。この年の売上が0円(開業前)なら、2024年の段階ではまだ消費税の納税義務はありません。しかし、2026年分から納税が発生することになります(2024年が1,000万円超なので、2年後の2026年分に課税)。

つまり、ご質問のケースでは2026年分(2027年3月申告)から消費税の納税義務がスタートする、という認識で正解です。

免税事業者でもインボイス制度の影響はある

インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、2023年10月から開始された新しい仕組みで、主に取引先が法人や事業者の場合に影響が出ます。制度の趣旨は、「仕入税額控除」を受けるためにはインボイス(登録事業者が発行する適格請求書)が必要、というものです。

ただし、ご質問のように「個人客しかいない」「法人利用はほとんどない」飲食店であれば、インボイス未登録でも現時点では大きな問題は生じにくいです。消費者はそもそも仕入税額控除を受ける立場ではないため、インボイスの有無を気にしません。

インボイス登録と未登録、どちらが得か

インボイス制度には登録義務はなく、任意での申請となります。2023年10月から登録すると、消費税の課税事業者としての義務が即時に発生するため注意が必要です。

登録すべきケース:取引先が法人や免税不可の仕入先で、「インボイスがないと取引できない」と言われた場合

登録を急がなくてよいケース:個人客中心で仕入先にも影響がなく、免税事業者のままで節税メリットが大きい場合

2026年に課税事業者になるタイミングで改めて検討するのも選択肢の一つです。

消費税の申告・納税の流れ

消費税の納税義務が発生したら、毎年3月末までに消費税の確定申告と納税が必要になります。対象となる売上や経費を帳簿や領収書でしっかり管理し、必要に応じて税理士や青色申告会に相談しましょう。

また、消費税の申告には「簡易課税制度」や「本則課税」などの方式があり、売上の業種や利益率に応じて有利な方法を選ぶことができます。

まとめ

2023年11月に開業した個人飲食店が2024年に売上1,400万円となった場合、2026年分(2027年3月申告)から消費税の納税義務が発生します。それまでは免税事業者として取り扱われ、インボイス登録も必須ではありません。個人客が中心であれば、現時点でインボイス登録しないことに大きな問題はなく、2026年の課税事業者化に合わせて再検討すればよいでしょう。

不安がある場合は、地域の税務署や青色申告会、税理士に早めに相談することで、安心して事業を継続できます。

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