企業の健康診断と労基署への報告義務|100人規模の人事担当者が知っておきたい手続きと注意点

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企業の人事部門では、従業員の健康管理も重要な業務の一つです。特に従業員数が増えると、健康診断の実施やその後の手続きが複雑になります。本記事では、従業員が100人在籍する企業における健康診断と、労働基準監督署への報告義務について解説します。

労働安全衛生法に基づく健康診断の実施義務

企業は労働安全衛生法第66条により、常時使用する従業員に対して年1回の定期健康診断を実施する義務があります。これは従業員数に関係なく、正社員・契約社員・パートタイムなどの雇用形態も対象となるケースがあります。

特に従業員が50人以上の事業場では、健康診断の実施後に「定期健康診断結果報告書」を労働基準監督署へ提出する必要があります。

健康診断結果報告書とは?提出の目的と様式

健康診断結果報告書(様式第6号)は、従業員の健康状態や異常所見の有無を集計して記載し、年に1回所轄の労基署へ提出するものです。これは従業員の健康保持と職場環境改善のための基礎資料となります。

報告書には受診人数、要再検査や要精密検査となった人数などを項目別に集計して記載します。提出期限は例年6月30日までですが、各労基署で指導がある場合もあります。

100人規模の企業ではどう管理すべきか

100人規模の企業では、健診実施機関から提供されるCSVデータや帳票を活用し、Excelや専用ソフトで集計するのが一般的です。健康管理システムを導入している企業では、報告書作成の効率化も可能です。

紙ベースでの管理だと、確認・集計・入力に時間がかかるため、従業員情報や健診結果のデジタル化は作業負担の軽減につながります。

作業の流れと注意点

提出までの主な流れは以下の通りです。

  • 健康診断の実施(医療機関の手配と日程調整)
  • 健診結果の回収と確認
  • 集計・報告書作成
  • 労基署への提出(郵送または持参)

注意点としては、未受診者への督促対応や、個人情報の取り扱い、医師の意見聴取義務(異常所見がある場合)などがあります。

業務負担を減らす工夫やツール

人事が1〜2人程度の体制で100名の健康診断を管理するのは、時期によっては相当な負担になります。最近では健診代行会社や健康管理クラウドサービスを利用し、データの自動集計・電子報告に対応する企業も増えています。

また、健診の予約から結果管理、報告書作成までワンストップで対応できるツールを導入すれば、業務負担が軽減されるとともに法令順守もしやすくなります。

まとめ:報告は義務、効率化が鍵

50人以上の事業場において、健康診断の報告は法的義務であり、100人規模であれば尚のこと適切な体制とフローの構築が不可欠です。効率的な管理とツール活用により、人事担当者の業務負荷を減らしつつ、従業員の健康を守る取り組みを強化しましょう。

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