年金受給開始の年齢選択や受給の組み合わせによって、介護保険料の支払い方法が変わるケースがあります。特に厚生年金は受け取っているが、老齢基礎年金(国民年金)を繰下げ中という方にとっては、介護保険料が天引きされないことも。この記事ではその理由と今後の対処方法をわかりやすく解説します。
介護保険料の基本:原則は年金からの天引き(特別徴収)
原則として、65歳以上の方は介護保険料を「特別徴収(年金天引き)」により支払います。ただしこの方法が適用されるためには、次の条件を満たす必要があります。
- 老齢年金(基礎年金や厚生年金)を年額18万円以上受給している
- 市区町村が年金情報と照合できる状態にある
この条件に当てはまらない場合は「普通徴収」となり、納付書や口座振替での支払いになります。
厚生年金だけ受給中の場合の注意点
厚生年金を受け取っていても、国民年金(老齢基礎年金)を繰り下げている場合は、市区町村が年金機構から十分な情報を得られず、特別徴収の対象外となる可能性があります。
つまり、厚生年金のみ受給で基礎年金未受給の状態では、介護保険料は年金から天引きされず、納付書での支払いになるのが一般的です。
繰下げ受給中の年金と介護保険料の関係
老齢基礎年金を70歳に繰り下げている場合、65歳〜69歳までの間は厚生年金のみの受給になります。この期間中は、通常、介護保険料は納付書による普通徴収で支払う必要があります。
年金から天引きが再開されるのは、基礎年金の受給が開始された後、かつその年金額が一定基準(18万円以上)を超えている場合です。
年金からの天引きに移行するタイミング
繰下げ受給を開始すると、翌年度以降に介護保険料が再び特別徴収(年金天引き)に切り替わることがあります。ただし、自動では切り替わらないこともあるため、自治体からの通知や年金事務所からの案内を確認することが重要です。
なお、切り替えには数カ月の時差が発生することが多く、その間も納付書での支払いが必要になる場合があります。
具体的な例で確認:年金受給状況と保険料の関係
たとえば、66歳の男性が厚生年金のみ月15万円受給、老齢基礎年金を70歳まで繰り下げているとします。この場合、厚生年金の年間受給額は180万円で基準を満たしますが、基礎年金の受給が始まっていないため、自治体が年金情報を一元管理できず、天引きできない可能性が高いのです。
結果として、介護保険料の請求は「普通徴収(納付書または口座振替)」で届くことになります。
まとめ:受給パターンに応じた支払い方法を理解しよう
介護保険料の支払い方法は、年金の受給形態によって変わることがあるため、「厚生年金を受け取っているのに天引きされない」ケースも少なくありません。これは制度上の仕組みによるものであり、特別徴収対象の条件を満たすようになれば、将来的に天引きへ移行することもあります。
気になる場合は、日本年金機構やお住まいの市区町村に相談し、ご自身の状況にあった納付方法の確認をおすすめします。
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