障害基礎年金を受給している方が生活保護を申請した場合、どのように支給額が調整されるのか気になる方は多いはずです。本記事では、障害基礎年金と生活保護費が併用できる仕組みと、実際に受け取れる金額について解説します。
障害基礎年金と生活保護は併用可能
障害基礎年金を受給していても、生活保護の申請と受給は可能です。生活保護制度は「生活に困窮するすべての人」が対象のため、年金受給者でも必要と判断されれば支給されます。
ただし、年金などの収入は生活保護の「収入認定」に含まれるため、生活保護費のうち生活扶助は調整されます。
受給金額はどうなる?実際の仕組み
生活保護は、以下のような考え方で支給額が決まります。
- 生活扶助基準額 - 年金等の収入 = 支給される生活扶助
- 住宅扶助は実費が全額支給される(上限あり)
たとえば、生活扶助基準が8万円、住宅扶助上限が3.5万円、障害基礎年金が7万円の場合、生活扶助:1万円、住宅扶助:3.5万円が支給され、合計4.5万円が生活保護費として支給されます。
つまり、①の「18.5万円」ではなく、②の「12万円」が正解です。
実例で理解する生活保護と障害年金の併用
事例1:年金が生活扶助より少ないケース
障害基礎年金:6万円
生活扶助基準:8万円
住宅扶助:3.5万円
⇒ 生活扶助:2万円支給、住宅扶助:3.5万円支給 → 合計5.5万円の生活保護
事例2:年金が生活扶助基準と同等以上
障害基礎年金:8万円
生活扶助基準:8万円
住宅扶助:3.5万円
⇒ 生活扶助:0円、住宅扶助:3.5万円支給 → 合計3.5万円の生活保護
支給額の差額調整は「自立支援」のため
生活保護制度は、個人のすべての収入(年金、就労収入、仕送りなど)を考慮し、最低限の生活を保障する設計になっています。そのため、年金を受給しているからといって生活保護費が増えるわけではありません。
ただし、住宅扶助は支給額が年金と無関係であり、賃貸住宅に住んでいる場合などには大きな助けになります。
注意点:生活保護受給中の年金受取は申告必須
生活保護の受給中に年金を受け取る場合は、必ず福祉事務所に申告が必要です。無申告や過少申告は不正受給と判断されるおそれがあり、返還や罰則の対象になることもあります。
また、自治体によって生活扶助の基準や住宅扶助の上限額が異なるため、詳細は地域の福祉事務所に相談するのが確実です。
まとめ:障害年金受給者でも生活保護は受けられるが調整あり
障害基礎年金と生活保護は併用可能ですが、生活扶助部分は年金額を差し引いた「差額のみ」が支給されます。住宅扶助は原則として満額支給されるため、合計で「障害年金+生活保護(住宅含む)」の形になります。
誤解しがちな「年金と生活保護の合算で満額もらえる」ということはありませんので、制度の仕組みを理解して申請に臨みましょう。
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