共働き家庭で子どもを健康保険上の扶養に入れる際、どちらの親の扶養に入れるかによって申請方法や必要書類が変わってきます。特に妻の方が年収が高い場合に夫側が「自分のほうが年収が低い」と証明するには何を提出すればよいのか、副業収入も含める必要があるのか、年収が逆転したときの対応や、違反した場合の罰則について気になる方も多いはずです。本記事ではその制度と注意点をわかりやすく解説します。
子どもを扶養に入れるには「主たる生計維持者」であることが条件
健康保険において、子どもを扶養に入れる際の原則は「主たる生計維持者」であるかどうかです。つまり、夫婦どちらの収入が高いかが重要になります。
多くの健康保険組合では「年収の多い方が扶養に入れるのが原則」とされており、逆に収入の少ない方が扶養に入れるには年収証明の提出を求められるのが一般的です。
そのため、会社側が「夫の収入が妻より明らかに少ない」ことを判断するために、夫の給与明細や源泉徴収票の提出を求めてくるケースがあります。
副業収入も含めて年収を判断されるのか
はい、健康保険上の扶養判定では全ての収入(主たる職業+副業含む)を合算して判断されます。メインの仕事のみを申告し、副業収入を隠して申請するのは、虚偽申告と見なされるリスクがあります。
扶養認定では「現時点の収入見込み額」をベースに、年収ベースで比較されるため、申告時点で副業の売上が発生している場合は、その分も含めた証明が必要になります。
たとえば、フリーランスで事業収入が少額でもあった場合、確定申告書の写しや事業収支内訳書の提出を求められることもあります。
年収が逆転した場合、扶養変更は必要?
仮に現在、妻の扶養に入れていたとしても、今後夫の年収が上回るようになった場合、扶養の見直しが必要になる可能性があります。
ただし、健康保険の扶養は「年収見込み」で判断されるため、年収が逆転していると明確にわかった段階で、会社に扶養変更の申し出を行うのが望ましいとされています。
変更を怠ったとしても、健康保険組合や会社が必ずしも調査するとは限りませんが、後に問題が発覚すると、遡って保険料徴収や給付の返還が求められる場合があります。
メイン収入のみで申請した場合、調査や罰則はある?
メインの会社の収入だけを提出して扶養申請を行い、副業収入を意図的に隠していたことが後に発覚した場合、会社や保険組合からの給付金の返還請求や扶養認定取り消しが発生することがあります。
さらに、故意による虚偽申告であると判断されれば、詐欺罪や公的書類の虚偽記載に該当する可能性もゼロではありません。
ただし、実際に罰則適用まで至ることはまれで、多くは過去の保険料や医療費の返還請求で済まされるケースが多いです。
実例:副業収入を隠して扶養申請し問題になったケース
30代の男性Cさんは、会社員としての給与月収が25万円で、妻より収入が低いとして子どもを妻の扶養に入れていました。しかし、個人でネットショップの副業も行っており、年間収入が50万円を超えていました。
数年後、税務署からの照会をきっかけに健康保険組合が調査し、過去の扶養認定が無効とされ、3年分の医療費給付の返還と保険料差額の支払いを命じられました。Cさんは「メイン収入だけ見せればいいと思っていた」と後悔したそうです。
まとめ:扶養申請には正確な年収申告を
共働き家庭で子どもを扶養に入れる際には、収入の多い方が原則として扶養を持ちます。もし収入の低い側が申請をする場合、全ての収入(本業+副業)を含めて正確に申告することが求められます。
メインの収入だけを提出して申請したとしても、後から調査や照会で副業が判明すれば、扶養取り消し・保険料追納・給付金返還などのペナルティが生じるリスクがあります。
安心して制度を利用するためにも、少しでも不明な点があれば、会社の総務や社会保険労務士に事前に相談して、適切な手続きを心がけましょう。
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